なぜトヨタは剛性にこだわるのか!?
近年のトヨタやレクサスの上級モデルでは、フルモデルチェンジがある度に「車体剛性が〇〇%アップ」と宣伝されることが多い。従来のトヨタ&レクサスにとって最も軽視してきたのが車体剛性だと思うが、数年前からの路線変更で全てを変革している。元々のモデルはどれだけフニャフニャだったのか!?なんて気になってしまう。クラウンクロスオーバーも、アルファード/ヴェルファイアも、とにかく車体剛性の高さと21インチあるいは19インチの大径ホイールの組み合わせで、クルマとしての価値が大幅に上がったとアピールする。
個人的に今乗っているCX-5は車体剛性は平凡な範囲だとは思うが、SUVのサスストロークの余裕があってもなお、19インチホイールからの突き上げはなかなかのものがある。もしこれがガチガチのシャシー&ボデーに変わり、SUVよりサスストローク容量が少なくなるクロスオーバー(ロードカーとSUVの中間車高)で、21インチホイールを装備すれば相当にハードな乗り味が予想される。クラウン伝統のソフトな乗り心地も軽く吹っ飛ぶのでは?とすら思うが、さすがはトヨタでしっかりとふんわり仕上げている。
新たな発見
同じトヨタでもヤリスクロスの最上級モデルとなる17インチ仕様は、想像通りの乗り心地の悪さで、車体が想像通りに跳ね回り、コンパクトな低コスト車にありがちな酷い部分が丸出しになっている。個人的には絶対に許容できなかったこの乗り心地だけども、別の車種で例えるならばBMWが日本で最も売れた2007年頃のE90系3シリーズのMスポだろうか。ピロビールを使ったジョイントでバッキバッキの乗り味。ピュアスポーツカーだと思えば我慢できるのかもしれないけど。
クラウンクロスオーバーくらいの車重があれば、車体のハネ(ピッチング)はかなり防げるのだろうけど、結局のところクルマの乗り味を決めるのは、例え車体剛性を上げてやホイールを大径化しようとも、ジョイント(可動部)の作り込み次第でいくらでも脚色できる。クルマを選ぶ際には、サスペンション、ミッション、エンジン(アクセル)、ブレーキング、ステアリングなど可動領域が大きい部分の設計で決めるべきと思っている。それらの後にタイヤ、シート、シャシー&ボデー剛性やホイール径が乗り味に影響する。