切磋琢磨
ドイツのVWが、日本の最後発メーカーでしかないホンダの新型モデルなどを安易にパクるはずがないかもしれない。しかしVWの「パクリ体質」を告白する例は他にもたくさんある。フォードやクライスラーの経営で活躍したリー=アイアコッカの自伝にも出てくる。それとは別の話では2000年前後にフォード&MAZDA陣営に技術者や開発チームの引き抜きをかけて、5代目ゴルフを大成功に導いたりしている。手段を選ばないメーカーとして知られる。
VWに限った話ではない。有名な創業社長の頃から「パクリはしない」を社是として掲げているホンダも、最後発四輪メーカーだからこそ破格の成功を収められたと思われるし、最近でも現行ヴェゼルやまもなく商品化される新型プレリュードのデザインはデジャブ感が拭えない。過去には初代NSXのデザインだったり、S2000もロードスターのフォロワーとして名高い。
ゴルフとシビック
ホンダもトヨタもVWもMAZDAもお互いに良いところは「リスペクト」して自社技術として採用していくことで、平和的に共存共栄が図られてきたとも言える。アメリカ&中国の経済パワーの前でも日本とドイツの自動車メーカーは世界中の市場で主導権を保ち続けている。クルマの開発においても似通った感性を見せている。VWゴルフGTIもホンダシビックtypeRもFFモデルの官能的な走りを分かち合っていて、世界中のユーザーに幸せなカーライフを届けている。
バブル期の日本メーカーによる爆発的な拡大もあって、今ではFF車が世界の標準的な設計となっているが、日産やトヨタでFFが採用されるようになったのは1970年代になってからでかなり遅い。FFはすでにフランスメーカーなどで戦前から実用化されてはいたが、FRやRRに比べて直進安定性だったり伝達効率の良さなど様々なメリットはあるものの、駆動輪で操舵することから起因する技術的な問題から、かつては安全な運用が難しかったらしい。