考え抜かれた設計
北米市場向けの2.5L自然吸気や2.5Lターボを日本にも設定して欲しいけども、1.8Lディーゼルと2.0L自然吸気マイルドハイブリッドの2種の日本向けユニットは、ハイブリッドの普及で燃費の基準が高くなっている日本市場においては、合理的な選択だと思う。高速道路を使った長距離ドライブに対応できるだけの出力を持たせたユニットの中では燃費はトップクラスに良い。
Cセグながらも細部までよく作り込まれたデザインは、やはりオシャレで、多くの人が集まる行楽地にも颯爽と気分よく乗り付けられるだろう。クルマなんて動けばなんでもいいという意見もあるが、N-BOX、ルーミー、ヤリスクロス、アクアで、高級な宿泊施設だったり、リゾート施設だったりに入っていくのは気がひける。N-BOXもCX-30も100万円も価格は違わないし、高齢者ユーザーの割合も高いのだけど、なぜかCX-30に乗る高齢者の方が、商業施設で気前よくお金を使ってくれそうだ。
トヨタとはデザインの考え方が違う
登場から5年が経過するが、全く劣化しないデザインは素晴らしい。主観的な基準なので恐縮だけども、2020年に発売されたトヨタ・ハリアーは、最初から間伸びしたデザインを晒していて、デビュー当初から全くカッコいいとは思えない。わざと物足りないデザインに仕上げることで、アフターパーツを売る作戦なのかもしれない。フロントとサイドにゴテゴテとしたスカートをつけて、リアにパネルを嵌めたハリアーをしばしば見かける。悪目立ちは避けて色は99%がモノトーンが選ばれている。一方でCX-30はノーマルで乗る人が圧倒的に多く、有彩色も含め多くの色が選ばれる。
ノーマルのままでも、欧州車のような華やかなシルエットで、実によく目立っている。高級住宅街に停まっていても街の風景を乱さない上品さが光る。N-BOXは日本専用で、ハリアーは日中米のみでの販売だけど、CX-30はほぼ全てのOECD諸国で販売されている。欧州の世界遺産級の街並みであっても調和できるデザインが欧州プレミアムブランド(メルセデス、アウディなど)の基本スタンスだと思うが、このCX-30のチーフデザイナー(柳澤亮さん)の仕事は素晴らしい限りだ。現行のMAZDA車はいずれも魅力的だけど、最も幅広く多くの人に勧められるのがCX-30だと思う。
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