禁断のホイールベース
カイエン、Gクラス、LM(ランクル)は、価格面では間違いなく高級車であるけども、その乗り味は中庸で、誤解を恐れずに言ってしまえばカムリ、ハリアー、クラウン、アルファード的な抑揚の少ないドライブフィールに収束する。カイエン、Gクラス、LMはブランド力で押し売りできるので、無理やりに規格外の個性を出そうとはしていない。セダン中心のブランドということもあり、SUVでのブレークスルーを意図していない。
一方で、ランドローバー、MAZDA、ジープにはSUVしか選択肢はない。しかもターゲットとなる顧客は高級志向であり、最高のカーライフを送れる高級SUVが、特大高級セダンよりも技術的にも感覚的にも優れていることを証明する必要がある。日本ではカイエン、Gクラス、LMが有名過ぎるので、ランドローバー、MAZDA、ジープのモデルはこれらよりスケールが小さいSUVだと思われがちだが、いよいよSUVの限界値を超えた進化が姿を現した。
次の5年間で勢力図は大きく変わるか?
ブランド最大級となるレンジローバー、CX-90、ジープ・ワゴニアは、北米市場・豪州市場をメインとした開発になっているが、日本市場や欧州市場でシェア確保にもかなりの本気度を感じる。トヨタのKプラットフォーム(クラウン、アルファードなど)の上に突き出したレクサスLSの設計思想まで、辿りつかなければ、日本市場で個性のある高級車としては認知されない。
前述もしたが、やはりランドローバーとMAZDAの後には、彼らに日本市場も視野に入れたホイールベース3m越えのSUVを作るよう働きかけた優秀なサプライヤーがいるのだろう。高級セダンと違って、ディフェンダー、グランドチェロキーなど高級SUV市場には、心強いセカンドマーケットが控えている。本体価格855万円のディフェンダー110(直4ターボ300ps)自体が魅力的な価格設定であるが、上級グレードだと新車価格を超えるケースもある。実質負担はかなり少なく済みそうだ。