夢のスペック
ヴェゼルやN-BOXよりも100万円ほど高くなるが、1.5Lターボエンジンのモデルは、小型のクルマに比べてやや燃費では劣ってしまう。しかしe:HEVモデルは、スポーツカーのような優れた加速を発揮しつつも、モード燃費24km/Lを達成していて「夢のスペック」を実現している。
走りが良くて、車格があって、燃費は20km/Lの3つが高いレベルで備わっての乗り出し価格500万円は、ちょっと考えれば納得できる金額ではある。しかもSUVのガソリンICEやガソリンHEVではほぼ達成できていない水準だ。Cセグのロードカーだけに許された「聖域」の価値をメーカー側も十分に理解していて、現行でMAZDA3スカイX、プリウス、シビックe:HEVの3モデルが併立している。
日本メーカーの深謀遠慮
アルファードやCX-60が買えてしまう価格のCセグロードカーを、多くのユーザーが「良いクルマだ!!」と熱狂的に選択するほどには、日本市場は経済的にも精神的にも成熟していないように感じる。300万円以下の乗り出しで買える手頃なクルマか、レクサスのようなプレミアムイメージの強いモデル、そしてGT-RやシビックtypeRのような高性能によるブランド力を実現したモデルばかりが売れる。
MAZDA3もプリウスも乗り出し300万円以下の時代はかなり人気があった。しかし世界的にオンリーワンな性能を目指した結果、本体価格だけで400万円近くにまで上昇した、決して反響がなかったわけではないが、「すごい良くなった!!」と絶賛して笑顔で契約する成熟したユーザーはそれほど多くはなかった。