トヨタやホンダも気付いた!?
トヨタのGR86やGRヤリス、ホンダのシビックRSなどMT車を中心としたモデルが日本市場でスマッシュヒットしている。これらもイギリス的な気品高い価値観を持ったユーザーを集めることに成功したからだと考えられる。RSと同じくMT専用車のシビックtypeRの人気は相変わらずであるし、業績不振が報道されている日産においてもMTを用意したフェアレディZはオーダーストップがかかるほどの人気だ。
MAZDAに限った話ではなく、トヨタ、ホンダ、日産も「反グローバリズム」なクルマ作りの要素をどれだけ残していけるかが、ブランド全体の販売に影響する。50年代、60年代の価値観を「ルネサンス」というのは流石に大風呂敷かもしれない。それでも日本市場でMTが用意されている普通乗用車(スイフト、ヤリスなど)は、欧州市場で一定の人気があることを示している。
日本車バッシングの意味
1980年代以降は日本車が、そして2020年代は中国メーカーのBEVが、自動車業界を大きく変形させつつある。日本のカーメディア界隈では2010年くらいまでは、BMWやポルシェこそが崇高で、日本車は堕落した存在でしかなかった。貿易摩擦に怒り狂って日本車を破壊するアメリカ人に無知蒙昧さを感じているのは、単なる日本人の傲りでしかなく、設計が陳腐化(コモディティ化)した結果、クルマへの憧れは失われてしまった。
1980年代のアメリカ人の暴挙は「カスみたいな日本車は消えろ」という怒りのメッセージが込められていた。もし高度経済成長期に、政府主導で日本メーカーを3つくらいに集約する計画が実行されていたら、MAZDAもスバルも消えていた。トヨタ、日産、ホンダの合理的設計が世界を覆い尽くし、コモディティ化が急激に進み、中国やASEAN製造へのシフトがすでに完了していたかもしれない。