レッドオーシャン化
MAZDAが2012年に発売したCX-5は世界的な大ヒットを遂げ、トヨタ(ハリアー、レクサスNX)やホンダ(ZR-V)などの巨大コモディティ資本から注目を集めてしまった。ディーゼルエンジンで環境性能をアピールするMAZDAに対して、トヨタもホンダもHEVで販売台数を伸ばしている。モード燃費20km/Lのトヨタ、ホンダに対して、スカイXで同等のガソリン燃費を出すと期待されたが、次期CX-5は自社開発のHEVが搭載されるようだ。
CX-5に関しては初代の2012年、二代目の2017年とは、販売環境が大きく変わってしまった。先代モデルがいずれも不人気車だったNXとハリアーは、徹底的に質感をCX-5に寄せることで販売を伸ばした。この飽和的状況ではCX-5、NX、ハリアーそれぞれの次期モデルは余程の進化がない限りは、販売台数を伸ばすことはないだろう。次期CX-5がHEV化したとしても、すでに20km/Lレベルのモデルが存在するので、販売が大きく伸びるとは考えにくい。
目的に応じたクルマ選び
VW、日産、ステランティス、ボルボなどが競うように欧州市場のBEV化に参入した結果、これらのメーカーの業績は追い詰められた状況にあり、リストラ、ストライキ、会長辞任などのニュースが飛び交っている。BEVは既存ICEとの差別化こそできているが、BEV同士ではバッテリー容量、モーター出力、センタータッチパネル、ステアリングの形状など、横並び過ぎて「こだわり」の要素が見えない。CX-5のHEV化もこれと似たような状況を生み出すだろう。
4.5〜4.7m級のミドルSUVが日本市場で飽きられていく中で、トヨタもホンダも真似しないCX-60の価値がジワジワと上がっていと予想される。縦置きエンジンの上級SUVモデルと、クラシカルな魅力を伝えるMT装備の3車の間に、実用的なCX-5とCX-30、MX-30が用意される。少数精鋭の車種を3グループに分けて、上級モデルへの乗り換えや、MT車を含めた複数台所有でファンを囲い込む・・・なかなか見事な戦略に思える。