よりクラシカルな世界観かも
「東洋のジャガー」と呼ばれたスポーツドライブのフィールを重視したクルマ作りをブランド背景にしていることを否定するつもりはない。周囲でGRヤリスやA35AMGがエグい加速をしていても、イギリスのコーチビルダー的なクルマ作りがデザインから感じられるMAZDA車には、全く違う世界観があることもよく承知している。MZRエンジンを搭載していたジネッタG40みたいなボデーを作りたいのが、ICONIC SPからも存分に感じられる。
そんなMAZDAが本気で、街乗り専用の次期CX-5を作ったら、日本の街並みはまた一段と洗練された景色になると思う。デザインは主観なので、あまり説得力はないけども、CX-5、ハリアー、ZR-V、エクストレイル、フォレスターの5台を比較してみると、一番古いはずのCX-5が一番新しいデザインに見えてしまうのは不思議だ。MAZDA3、60プリウス、フェアレディZ、プレリュード(未発売)の4台を比べても、贔屓目なしにMAZDA3がなぜか新しく見える。
MAZDAの美点
運転している時間はエクステリアは見えないから、正直言って「どうでもいい」という意見もわかる。インテリアの方が重要度は高いが、こちらも前述した通り、この10年余りの努力によって「MAZDAには勝てない」といった雰囲気が出来上がっている。ZR-Vと新型フォレスターはかなり意識してインテリアのデザインアイコンを作り上げていてCX-5と比べても遜色ない出来だと思うが、トヨタ、日産の官僚主義で雑な仕上がりは、「指名買い」不要な大手の奢りを感じる。
メルセデス(中国)、ボルボ(中国)、フィアット(イタリア)、MINI(イギリス)などは、インテリアのデザインがとてもまとまっている。中国、イタリア、イギリスは「デザイン3大国」といってもいいかもしれない。メルセデスは開発センターを中国に移したセダンのデザインが目覚ましく向上している。古臭さが香っていた10年前のメルセデスの面影はすっかりなくなっている。