優秀すぎるMAZDA入門車
三代目DE型は、前田育男さんの大出世作品となるアイコニックなデザインへと大変身した。そのインパクトから前述のようにWCOTYに輝いた。小動物のような可愛いデザインは、2005年の2代目ヴィッツを真似たのだろうと思われる。魂動デザインにも同じことが言えるが、前田デザインは「0から1」なものではないと考えざるを得ない。それでも美しいクルマだけでMAZDAのラインナップ全てを完結させた業績は誰にも否定できないだろう。美しくなければMAZDAにあらず・・・。
四代目DJ型は、ディーゼル搭載のためトルク容量の確保から6ATとなり、先代で使われたCVTからトルコンATへと回帰した。コンパクトカーでは異例の25キロに達するディーゼル・トルクは、それまでの「軽快車」というクルマのコンセプトを大きく変えていく。当初は日本向けが1.3L (欧州は1.5L) だったガソリンエンジンもMAZDA3と共通の1.5Lに変わり、全グレードが1100kg程度の車体には余裕があるパワーユニットとなった。
高級車からの乗り換えでも不満がない
昨年の1.5Lディーゼルの廃止によってトルク容量の都合でトルコンATを使うという理由は無くなった。しかしCVTのようにある程度の速度域ではベルトを引きずるような異音がするとか、DCTのように山岳地域での渋滞で故障が発生するなどのデメリットやリスクを回避できるという点で優位性のあるミッションであることに変わりはない。フロントガラスやサイドのドアパネルも、防音・吸音の性能が高いものが使用され、コンパクトカーながら車内で音楽も楽しめるクルマでもある。
2014年のDJ型の発売当初から「車格に捉われない上質なドライビング環境」を提供するとMAZDAは宣言していた。あらゆる価値観を持ったユーザーに対応すべく、徹底した静粛設計と、Bセグながら運転席パワーシートまで設定されている。トヨタだとカローラ(カローラクロスを除く)にもパワーシートの設定はない。かつて高級な輸入車に乗っていた引退世代に、QOLの下がらない「ダウンサイジング」を提供するのがコンセプトだと思われる。