必然のスポーツカー登場
新型プレリュードが発売され、注目度の高さそのままに大人気のようだ。日本市場だけを見れば、楽しいスポーツカーが他にもいくつもある中で、わざわざ618万円も出してHEVのスポーツカーを選ぶ理由があるのか?という意見もある。一方で欧州市場では2026年から排ガス規制が一気に強化される予定だったため、新型プレリュードだけが販売を継続する唯一の日本メーカーのスポーツカーになるようだ。
HEVはエコカーであり、トヨタもスポーツカーでの採用にはあまり前向きではない。HEVが普及するにつれ「モビリティ」という言葉が広められ、運転の楽しさとは別の商品力を強調するマーケティングの動きもある。ずっとガソリンエンジン車を継続して販売できるなら、スポーツカーは今後も大きくは変わらずに続いていくだろうけど、欧州委員会の「ノーモア!ジャパニーズカー!」政策が強行され、メーカーが及び腰になっている。
スポーツカーの終焉
欧州市場の大きな変化によって販売継続が困難で、シビックtypeR、GR86、スイフトスポーツ、ロードスターの次期モデル開発は不透明になっている。北米市場からすでに撤退しているスズキは否応なしで、スイフトスポーツは完全終焉が噂される。欧州と北米にある程度のシェアを持つロードスターも次期モデルを欧州はBEVで北米&日本は現状維持のICEで作り分けると、生産コストを吸収するための価格上昇は免れない。欧州委員会の決定がそのまま日本市場にも甚大な影響を与える。
それぞれの自動車メーカーは当事者として、スポーツカーの販売市場が無くなっていく予想はしているわけで、経営計画の中で終焉が決まっているのに、現行モデルの販売を促進する意味で「スポーツカーは絶対に無くならない」みたいなコピーを掲げる。クルマよりずっと環境負荷が大きい飛行機を趣味で飛ばす人がいるのだから、近い将来の懲罰的なガソリン税、排ガス課税を支払ってでも乗り続けるセレブはいるだろうが、一般人とは無縁の世界になりそうだ。