再びのミラクル・ホンダなのか!?
新型プレリュードの登場は、欧州排ガス規制に対する自動車メーカーの回答という意味で、業界に大きな変化を引き起こす可能性がある。還暦前後のオッサン達が「プレリュード=デートカー」だと盛り上がるのは、爆発的人気を誇ったのはバブル絶頂の1987年に発売された3代目プレリュードだが、その前の1982年に発売された2代目プレリュードこそが、欧州市場に日本車の実力を認めさせたゲームチェンジャーだった。次の3代目は更なる進化を遂げ欧州COTYでベスト3に入る。
欧州COTYで1位を取った日本車は、マーチ、ヤリス(2回)、プリウス、リーフの5度あるが、いずれもコンパクトカーとタクシー用エコカー(グリーンカー)だけだ。高性能なエンジンの中型車がベスト3に入った例は、1994年シビック、1988年プレリュード、1991年プリメーラ、2003年MAZDA6、2004年MAZDA3(伝説のゴルフVと同点2位)、2013年86/BRZの6回ある。この6台こそが欧州メーカーに脅威を与えたグランドツーリングカーだと言える。
幸せな時代
1982年の2代目プレリュードで前輪がダブルウィッシュボーン(DWB)になり(後輪はストラット)、この設計に影響を受けたと思われるのが、1997年に発売された名車アルファロメオ156で、ホンダVテックに負けない超高回転エンジンに前輪DWBを配した設計で欧州市場でBMW3シリーズ(E46)をしのぐ人気を誇った。協業でホンダの設計がそのまま使われたローバー400(1989年)や、他にもアウディA4(1994年)、アテンザ/MAZDA6(2002年)、プジョー407(2004年)などに前輪DWBが広がった。
90年代から2000年代にかけて人気だったスポーツセダン市場を作り上げたのは、3シリーズ(E46)とアルファ156の2台の名車だが、E46の乗り味は先代とは大きく変わっており、1991年の初代プリメーラ(GT-Rの水野さんが設計主査)の影響下にあるという指摘もある。日産の「901運動」と、ホンダの「フェラーリ越え宣言」の狂気があったからこその素晴らしいスポーツセダン市場が生まれた。