第4位 三菱
10年ほど前に「ロードカーは作りません」と宣言し、現行の普通車ではPHEV&AWDのみのアウトランダーと、ディーゼル&AWDのみのデリカD5とトライトン。そして経年で償却が進んでリーズナブルな価格設定のエクリプス・クロスだけという徹底したラインナップの合理化が図られている。往年のGTO、ディアマンテ、エクリプススパイダー、ランエボといったロードカーの名車を生み出したブランド力を活用しないのはもったいない気もするが・・・。
ドイツでもアメリカでも早くから認められた三菱自動車には「デボネアV3000ロイヤルAMG」のようなチューナーモデルまで存在したが、世界で通用する三菱の最も有望な技術は「AWD」であると結論したのだろう(ドイツ車のAWD技術は外注ばかり)。AWD技術を必要としないエコ軽量小型のロードカーを廃止して、AWD技術で走行安定性が格段に上がるSUVや重量級ミニバンに集中するのは納得できる。
三菱の重厚感があって堅牢なボデーが好きという人には、2トン超えの重量も、それに伴う燃費の悪さも気にならない。ホンダ車やMAZDA車を選ぶ感覚だと、1.5Lターボ(150ps)のエクリプスクロスの300万円を下回るコスパの良さと、同じくエクリプスクロスの2.4L・PHEVでシステム出力は非公表なものの、200〜250psは出そうなユニットに、ランエボのS-AWCを受け継ぐトルクベクタリングが組み合わされたエクストリームなグレードが魅力的だ。
S-AWC技術はアウトランダーにも実装されているが、より軽量で小型のボデーを持つエクリプスクロスを残して、ドライバーズカーとして味わってもらう配慮がされている。1920kgとややヘビーな車重だが、同カテゴリーのジャガー・ランドローバー(イヴォーク、ディカバリースポーツ、Eペイス)の1.5L直3PHEVだと2200kgまで重量が増える。乗り出し価格もエクリプス・クロスPHEVの2倍になる。三菱とランドローバーに近いクルマ作りを志向していると言える。