トヨタの政治力
2025年もグローバルで1000万台を超える販売で、6年連続世界一になる見通しのトヨタ自動車だが、ブランド内の最量販モデルはカローラでもクラウンでもなく、ミドルSUVのRAV4だ。2024年の世界販売は118万7000台だそうで、前年トップのテスラ・モデルYに僅差ながら勝利した。2023年にBEVのモデルYが戴冠し、今後はBEVが1位を維持し続けると思われたが、トヨタが「戦略的」に撃墜したという見方が有力だ。
BMWやアルファロメオなどを好む「走り」重視のクルマ好きにとっては「世界最量販モデル」なんて、どうでもいい話かもしれないけども、テスラやBYDが順調に成長し米中の競争に当局が介入する動きを強めれば、多くの自動車メーカーの経営判断に影響を与えるのは必須だ。BMWやアルファロメオがICEを作り続けるモチベーションを維持するためにも、トヨタが無茶をやってくれたとすれば、クルマ好きはこの巨大メーカーに軽はずみな批判を浴びせるべきではないと思う。
日経新聞の意図
2024年に頂点を奪回した5代目RAV4は、2025年12月をもって主要市場で一斉にフルモデルチェンジを実施した。新型RA4は日本、中国、カナダの3拠点しか立ち上がっておらず、アメリカ・ケンタッキー州の工場が稼働するまで、販売を大きく減らす公算だが他車も順調に売れており余力は十分にある。日本経済新聞を読んでいると、世界の自動車産業はすでにBYDが主導権を握り、トヨタ、日産、ホンダはすでに「まな板の鯛」であるかのような論調であるが、調べてみるとトヨタの販売台数は貿易摩擦トリガーとなりうる支配的数字だ。手加減(ガス抜き)も必要だ。
BYDの最量販モデルは国内専売の「QIN(秦)」だけども、2024年ではこのクルマより売れているトヨタ車は5車種もある(RAV4、カローラクロス、カローラ、ハイラックス、カムリ)。BEV販売世界一となったBYDだけど主力の「QIN」の50万台のうち、BEVは20万台ほどで、半数以上はPHEVが占めている。BYD全体で2025年は460万台で、そのうちBEVは225万台で半分だ。中国市場のBEV販売は2025年単年で1062万台で、自動車全体で3440万台でBEV率は30%となっている。もちろん中国市場に参入しているトヨタ、ホンダ、日産、MAZDA4社全てが中国向けBEVをOEMなどで用意している。