多国籍車のRAV4
先代が大ヒットしたため、新型RAV4の開発は難しい判断だったと思われるが、キープコンセプトのままHEV集約による大幅値上げを敢行した。RAV4の影で、モデルYに続く第3位へと急成長したカローラクロス(カローラは含まず)で、低価格なニーズは全部吸収できると判断しているのだろう。HEVのみとなったカローラクロスの新価格では、アルミホイール装備のミドルグレードが298万円で、先代RAV4やハリアーの非HEV車のデビュー時の価格とほぼ同じになっている。新型RAV4との価格差150万円は大きい。
世界販売と国内販売で主導権を握り、アメリカ連邦当局や日本政府との取引で、国際情勢を左右する存在となった多国籍企業・トヨタは、1999年にトーマス・フリードマンが「レクサスとオリーブの木」で警告を発して以来、35年余りにわたってその地位を揺るぎないものにしてきた。2007年頃にはトヨタも、近年にフェアーウェイやZTEが受けた「排除」を経験している。荒波を乗り越えた現在も、「RAV4とオリーブの木」(オリーブは土地・文化・民族の象徴)が刊行されそうな勢いを保っている。
日本のカーメディアの限界
MAZDA、BMW、アルファロメオなどを好むユーザーがトヨタが好きになれない理由も同じだろう。MAZDAは「オリーブの木」として北米、欧州で受け入れられた稀有な日本メーカーだ。VWやステランティスなどの巨大資本グループも傘下のブランド(アルファロメオ、ポルシェなど)がそれぞれ「オリーブの木」としてクルマ作りをするため、トヨタのような存在にはなれない。むしろ欧米市場で徹底的に勝ちに行くマインドが強いヒョンデ、BYD、吉利汽車など東アジアの資本にその傾向が強く見られる。
スバルやBMWからトヨタへのOEMは成立するが、その逆は主幹モデルに関してはあり得ない。MAZDAがCX-50を北米で生産する際に、自動車文化のかけらも理解していないAJAJのライター軍団やヤフコメが、「MAZDAはトヨタからOEMを受けるべき」と再三に主張していた。トヨタのシステムが効率的なのはわかるし、欧州など特殊な環境ではMAZDA2がHEVのOEMを受けることはあるとは思うが、トヨタのクルマ作りの対極に「オリーブの木」が脈々を作られている現状が理解できていないのだろう。