日産復活の道筋
日産が再び日本最強の自動車メーカーへと回帰し、世界のクルマ好きから最上級の尊敬を得るためには、かつて有用に機能した「競争原理」を復活させる必要があるのかも知れない。非主流のプリンス派の技術者たちは、日産本流には「絶対に負けたくない」という強い対抗意識がスカイラインを世界最高のグランドツアラーへと作りあげていった。今回の「廃止」報道に際して、「スカイラインは日産の魂だろ!!」みたいなネットのコメントがあったけども、なんだか違和感がある。このコメントの趣旨を否定するつもりはないけども、日産の中にあって「非主流派」であり一歩間違えれば、歴史の闇に葬られる緊張感の連続こそが「スカイライン」の歴史そのものであり、主流派の経営陣から微妙な距離がある存在であり、今回の副社長のコメントもそれを反映していると言える。
名車には影がある
日本メーカーの最後方スタートから「下克上」の気持ちを持って世界のトップメーカーへと成長していったホンダ。あるいは1990年以降に重度な経営不振でブランド廃止の危機を度々味わってきたポルシェ、MAZDA、スバルといったメーカーの「陰影」を湛えたモデルはとても美しい。そこには歴代の開発者の創意工夫と、クルマの理想を目指した「夢」が詰まっているように感じる。VWグループに取り込まれたポルシェはちょっと「ヌルい」感じもするけど、一歩も間違えば全てを失う緊張感の連続の中で、クルマは大いに進化することは過去の多くのメーカーが証明してきた。