未舗装路を走りたい病
10年ほど前からSUVの人気が高まっていて、どのメーカーも主要モデルに位置付けている。自転車でもこれと同じようなことが起きている。ロードバイクよりも悪路走破性を高めた「グラベルロード」の新型モデル投入が目立つ。タイヤクリアランスを極限まで詰めてエアロ効果と細いタイヤの少ない抵抗によって高速巡行を可能したものがロードバイクだけど、グラベルロードは、フレームのサイズをやや緩くして、エアボリュームが大きくより太いタイヤを履かせることができるロードバイクだ。つまるところクロスバイクに近いフレームのジオメトリーを持っている。6万円程度で油圧ディスクのクロスバイクを買って、グラベル走行可能なタイヤに換装すれば、クルマがやってこない未舗装路(グラベル)を思いっきり走れるバイクを作ることができる。しかし熱心なホビーサイクリストほど、わざわざ30万円くらいする「グラベルロード」を選ぶ。
SUVが欲しくなる
同じく「ホビー・ドライバー」にとって、ピュアスポーツやそれに準じるような一流のロードカー(スカイラインや3シリーズなど)ではない選択として、クルマ版のグラベルロードというべきSUVが魅力的に映る。一流のロードカーとは真逆の乗り味なんだけど、スポーツカーも手がけるブランドが熱心にフラッグシップとして開発している。MAZDAやPORSCHEのSUVが人気なのは、このような非常に上手いマーケティングが機能しているからだ。しかしグラベルロードを買ったら未舗装路で楽しむだろうけど、SUVユーザーのどれだけが、ガタガタの林道に踏み入っていくだろうか!?トヨタC-HRやMAZDA・CX-30のような最低地上高ではそもそも「グラベル車」としての機能があるのか疑問だ。C-HRとCX-30は「市民カー」に分類されるべきモデルだろう。