20年前の日本は・・・
アラフォーくらいの人ならわかってもらえるかもしれない。20年くらい前の、今から思えばあらゆる面がゴミカスでしかなかった古き悪き日本で、ちょっとした「希望」だか「未来」を見せてくれたクルマがあった。そのクルマこそがMAZDAアテンザ(初代)・・・だと言いたいが、残念ながら世界を魅了した伝説のMAZDA車は、日本ではそれほどのインパクトはなかった。
初代アテンザ、RX-8、Z33でもなく、「クルマが欲しい」の初期衝動を与えてくれた憧れのグランドツアラーはアウディTT(初代)だった。時給700円の低賃金アルバイトが当たり前の時代。景気後退に加え、団塊世代の余剰労働力を抱え体力がない企業はかつてないほど採用を絞る。誰も好き好んでやってる訳ではないのだけど、親やテレビのニュースから「フリーター問題の当事者」として責め立てられる。今だった完全にモラハラ案件だと思うが・・・。
当時は英国ロックがメチャクチャ流行っていた。40年も前に「ノー・フューチャー」と叫んでいた「大失業社会」の先駆国だけあってポップミュージックにまで「資本主義の本質」がしっかり練り込まれている。マニック・ストリート・プリーチャーズやU2の歌詞からインスパイアされた内容を大学のレポートとして提出すると、どの先生も褒めてくれた。
マニック・ストリート・プリーチャーズの2ndアルバム「GOLD AGAINST THE SOUL」に添えられたリッチー=ジェームス(B)のプロローグは名文で、社会に放り出される前にこれを読んでいて良かったと思う。この絶望に満ちた文章の一節「運が良けりゃ錆びついた車や、住んでいるだけで気が滅入りそうなボロ家ぐらいは手に入るかも」が妙に心に残った。