MAZDAの最新技術
CX-60でも当然のようにフロントサスはダブルウィッシュボーンになった。縦置きエンジンで後輪駆動タイプなので、前後の重量バランスに配慮する必要がある。フロントに6気筒のディーゼルを積むのだから、相応にリアにも荷重しなければならず全体の車重が増えてしまう。それでも同クラスのドイツ勢やアルファロメオのSUVと比べても、むしろ軽いくらいに抑えられている。
BMWのX3を貶すつもりはないけども、このクルマはもはやグローバル戦略車であり、現行モデルはドイツ本国での組み立てはしていない。生産国はアメリカ、南アフリカ、中国、ブラジル、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、エジプト、ロシアである。これだけ生産地が幅広く分布しているのだから、フロントサスに高価な設計は与えられず、ストラットを使っている。防府工場で一極集中生産されるCX-60とは設計の許容度が全然違うといっていいと思う。
ベンツやBMWは敵ではない
プレミアム中心の独立系のBMWに対して、中国資本も入ったメルセデスは総合自動車メーカーでもある巨大資本ダイムラーグループの一員として欧州随一の規模を誇る。X3ほどではないが生産国が世界中に分散するGLCには、Cクラスと同じフロントダブルウィッシュボーンが与えられている。ただしメルセデスが新開発した直6エンジンの搭載はEクラスのようにドイツ&中国生産のモデルに限定されているようで、GLCには搭載されていない。
ブランドの誇る最新鋭のエンジンと、高価なサスペンションが使えるのは、MAZDAやアルファロメオなど上級モデルを1工場に集約できるブランドに限られる。ベンツやBMWが本気でGLCやX3を作っていたら、アルファロメオ・ステルヴィオもMAZDA・CX-60も企画すらされなかっただろう。クルマ好きをターゲットにしたブランド(アルファロメオ、MAZDA)と、新興国にフロンティアを求めるブランド(ベンツ、BMW)には、大きな差があるように思う。