スポーツカーよりBセグな理由
「MTのBセグ」は、軽量なボデーによる軽快な加速と、安心できるブレーキングやコーナーリングによる、ストレスないドライビング環境が最大の魅力だ。走りの追求ならば、最初から「スポーツカー」として開発されているGR86やロードスターの方が限界性能も高く、所有の満足度も高いかもしれない。しかしヤリスとGR86のどちらが「モータースポーツ」の世界では知名度が上だろうか?
GR86やロードスターは「スポーツカー」というより「クラシカルスタイル・カー」と表現する方が合っている。2ドア・スタイルによって1960年代(オイルショック前)の、自動車がまだまだ上流階級だけのもので豊かさの象徴だった時代を呼び起こす。その頃から自動車を大量に作っていたアメリカ、欧州、日本では「懐かしいスタイル」としてGR86やロードスターがウケているが、そこまで自動車製造の歴史がない韓国や中国のメーカーには全く模倣されない。
ロードスターが売れた理由
MAZDAロードスターは、北米や欧州ではオシャレなライフスタイルを送る人々のお買い物カーとなっていて、女性の方がユーザーが多いことで知られる。ソフトトップなので防犯面に課題があるとされ、ニューヨークやロサンゼルスなどの都市部ではあまりみられない。家からスタートして家に戻ってくるドライブ時間だけど楽しむ「プロムナードカー」と言われることもある。同じ用途のモデルとしてBMW・Z4やポルシェ718ボクスターがある。
トヨタGR86の初代モデル(2012年)は、北米ではサイオンFR-Sという車名で投入された。2003年に創設されたサイオン・ブランドは、同時期の日本市場にも投入されたist(コンパクトクロスオーバー)、bB(コンパクトBOXスタイル)、iQ(ミニマム)で構成され、既存の自動車ジャンルの壁を取り払う実験的なモデルが揃った。しかしヒット車が生まれず、ブランド立て直しのためにFR-S(初代86)が開発された。