イタリア人の経営する自動車メーカーは見ていて面白いです。イタリア人のデザインするクルマはどれも特別な空気を感じます。そしてイタリア人のチューニングするエンジンは単なる動力源以上の魅力を放ちます。現在のフィアットのCEOを務めるのはもちろんイタリア人のセルジオ=マルキオンネ氏ですが、マツダのロードスターを傘下ブランドのラインナップに加えるという面白い決断をして、それが見事にアバルト124スパイダーとして実現しました。三菱ライセンス1.4Lターボの「マルチエアー」エンジンが、イタリアで組み立てられて、広島で製造された車体に搭載されるという、三菱とマツダの夢の合作?みたいなクルマです。
まあ突っ込みどころが満載のクルマだからこそ、カーメディアにとってはレビューで書く話題に困らないクルマだとは思います。なんでロードスターにターボエンジンなんだ? 元々はアルファロメオから出る予定だったらしいぞ? 本国のフィアット版はマツダの本家よりも安いらしいぞ? などなど。 結局は実現しませんでしたけど、マツダとアルファロメオのコラボと聞いた時には大興奮でした。1990~2000年代に輝いた偉大なる名車「156」と「MAZDA6(GG)」を産んだ2大ブランドがタッグを組むなんて!!これって「ポルシェと日産」とか、「三菱とスバル」くらいのインパクトがある話で、え?そこが組んじゃうの?って感じです。
「横置きのFFでもBMWに勝てる!!」ということを見事に証明した二大ブランドでしたが、開発・製造にコストをかけすぎたため、156/159とGG/GHの2世代での輝きはリーマンショックとともに、一気に終焉に向かいます。儚い宿命だったから名車なのかもしれないですけども、健全経営によってその後に登場したモデルからは「飛び道具」が一気になくなった感があるアルファロメオとマツダ・・・。唯一羽根を伸ばせる分野が「ピュアスポーツカー」で4Cとロードスターはブランドの無念と鬱憤が全て詰まったかのような「過激」な設計になってます。
アルファロメオとマツダが面白い車を作ってくれないと、新車なんて全く買う気が起こりませーん。今年はアルファロメオからFRのジュリアというセダンが日本で発売される予定だそうです。同じような状況で新型Dせぐセダンとして発売されたジャガーXEは、日本のユーザーからは「ジャガー・サルーン」として十分に認められたとは言い難く、ジャガーの販売が大きく伸びる形跡もありませんでした。BMW3erすら大幅に販売台数を減らしているので、新規参入は非常に難しい局面ですし、プレミアムセダンの商品性が日本市場ではかなり怪しくなっています。その中で唯一の勝ち組がメルセデスCクラスですが、「プレミアムというなら徹底的に非日常を追求しろ!!」という日本のシビアなユーザー層によって評価されたみたいです。確かにあの内装はインパクトあったなー。
もちろん「内装」をデザインさせても超一流なのがイタリア人。レクサスのように高級素材を地味に使うのではなく、センスだけで「ハイライフ」を表現してしまうのがイタリア。ラグジュアリーブランドはあるけど、プレミアムブランドはない!!それがイタリアだったんですけども、アメリカ、中国、日本のGDP上位3カ国に乗り込むには「プレミアム」という位置付けが大事だと判断したようで、フィアット傘下の中でアルファロメオをこれからのFCAの収益源となる初のプレミアムブランドに指名したようです。
アルファロメオの旧世代からの生き残りであるジュリエッタは、日本ではプレミアムブランドよりも高い価格設定で強気に販売されていますが、北米ではダッジ・ダート、中国では中国フィアットのヴィアッジオ、オッティモとして拡販されています。ダートの北米価格は17000ドル〜で、Cセグセダンとしては最も安く買える部類です。2ペダルが完全に主流なアメリカ市場なのにミッションは6MTが基本となっているのがユニークですけども、スポーティを身上とするダッジブランドですから当然なのかも。日本にもダッジみたいなブランドが欲しいです。
日本のジュリエッタは現在は377万円〜となっていて、レクサスCTを超えて最も高いCセグになっています。ただしそれだけの価格にふさわしい装備の3グレードが用意されていて、全てにデフロックが標準装備されるなど、ゴルフGTIと同等あるいはそれ以上の走行性能を持った「ホットハッチ」オンリーの展開をしています。ブレンボ製ブレーキに専用スポーツサスがつく上の2つのグレード388万円&424万円も、内容を考えるとそれほど割高ではありません。
しかし今年発売のジュリアはもっとすごいことになっているらしい!!FRになってフィアットが得意としているディーゼルも装備されてボデーもジュリエッタより一回り大きいDセグなのに、車重が1374kgとのこと(ジュリエッタでも1400kgあるのに!!)。しかも重たくて大きいディーゼルエンジン搭載モデルでの話ですよ!!こりゃもはやのんびりと走るような乗り心地がゆったりしたセダンなんかじゃないですね・・・スバルWRXみたいに豪快に走るスポーツセダン以外の何物でもなく、BMW3erの二番煎じみたいな「思考停止」したモデルでもないみたいです。
本当に1300kg台で出てきたらすごいことです。こんなクルマは本来だったらホンダなんかが作りそうな「世界を驚かす」モデルです。さすがはホンダとエンジンのピストンスピードを争ったアルファロメオ!!。ジュリアと同じく今年導入されるシビックtypeRとの勝負が日本市場でガチンコになるのか!?ちょっと気がかりなのはジュリアの右ハンドルにはMTが設定されないという報道も。確かにジュリエッタの右ハンドルにもMT設定はないな〜・・・。アルファロメオが誇るピュアスポーツの4Cもそうですけど、右ハンドル國を差別するのはちょっとヤメてもらいたい!!
itaresam
初めてコメントします。
先日939スパイダー3.2Q4を購入しました。
ご存知のようにAWD車ですがトルセンCセンターデフの特性なのか、鼻の重さを感じるFF的前荷重にもかかわらず明らかに後輪で蹴る感覚で旋回していくさまは独特なものがあります。
同じトルセン式センターデフでもアウディのそれとは別物ですね。
おそらくこの時分から彼等本当はFR車を作りたかったのではと想像できます。
関係ないですが久々の左ハンMT車は楽しいです。
個人的には右手シフト左足クラッチの方がリズムを作りやすいです。私が未だロードスター購入に踏み切れない理由はそこです(笑)
wpmaster
コメントありがとうございます。
スパイダーは軽さを捨てて本格GT的な設計だなーと思いました。
当時(2000年代中頃)のアルファロメオは159や166もそうでしたけど、FF車とは思えないほど車重が目立ちますけど、
ご指摘のような狙いがあったのかもしれません。
売れ行きはイマイチでしたが、沢村、福野両氏は当時のアルファを絶賛してましたよ。
何と言ってもホンダ、アウディ、BMWを相手に堂々と立ち回った939Aですね。
N52を葬り去った!!は言い過ぎかもしれないですが、そういう類の輩なエンジンだと思います。
ぜひ末長く大事にしてください!!
左MTいいですよね。ウインカーも出しやすいですし、合理的な面は多いと思います。