新型ハリアー SUVブーム完全終了!?




高級SUVの定番へ

先代(3代目)ハリアーの最終ラインナップではベースモデルの価格が300万円に設定されていた。シャシーもエンジンも刷新され、高性能化を果たした新型(4代目)の価格は「299万円〜」。HVに至っては先代最終形の384万円から358万円までベース価格が下がった。コロナの影響は気になるところだけど、トヨタとしては絶対に失敗は許されない価格設定だ。

北米トヨタの実力

トヨタの横置きFFシャシーにおいては最上位に当たるKプラットフォームに変更され、RAV4、カムリ、レクサスRX、レクサスESと並んで「グランド・クルージングカー」といったキャラクターを与えられるモデルになった。北米レクサスの販売の大部分を占めるKプラットフォームは、ホンダに加えてキアやテスラの台頭もあってシェア確保のために、高品質化と台数を増やすことでのコスト競争に力を入れているようだ。




クラウンより長いモデルサイクル

いよいよSUVもクラウンのフルモデルチェンジの「予定調和」な感じが臭うようになってしまった・・・。オリジナルSUVとして知られる「ハリアー」シリーズだけあって実に優雅にフルモデルチェンジを敢行しているだけに余計にそう感じる。「クラウン」は単なるトヨタの主力サルーンに留まる存在ではなくて、日本市場を代表するレジェンドであり、三浦知良や武豊のような生きる伝説。そして同じく「ハリアー」も登場から20年以上が経過し、すでに4代目を数える。まだまだ登場から8年程度のCX-5とはキャリアが違う。

小細工は不要

「クラウン」や「ゴルフ」と並び立つ、そのジャンルを代表するレジェンドシリーズに成長した「ハリアー」だからこそ、キープコンセプト重視であり奇抜な飛び道具などを使ったりもしない。SNSでバズるような度肝を抜くエクステリアでのキワモノ要素は、もはや多くの欧州ブランドのSUVでは、あまりの依存ぶりに完全に病的な段階に到達しているが、国内無敵のトヨタによる国内専用車なのだから、そのようななりふり構わずシェアを広げる無茶なことはしない。従来のイメージを少しだけ進化させれば、系列ディーラーががっちり心を掴んで離さないハリアーユーザーは喜んで買ってくれるだろう。




SUVに新しさはない!?

セダンやワゴンといった90年代くらいまでの普通車のトレンドは、00年代にコンパクトカーやミニバンが主流になる中で、「新しい高級モデル」として独特の存在感を誇った初代&2代目ハリアーは国内市場でスマッシュヒットを遂げた。2010年代に入ると欧州市場で突如としてSUVが売れ始めたけども、火付け役は日産ジューク&キャッシュカイだとされる。伝統あるクルマの本場の市場をひっくり返しつつあるSUVはあくまで「カウンターカルチャー」としての自動車ブーム第2派を期待させるものだったけど、もはやトヨタにおいては「ハリアー」はメインストリームの高級車として堂々と宣伝されている。

マニアにとってのトヨタとは・・・

トヨタがクルマの匠としてのプライドをかけて作っている「クラウン」「ランクル」「アルファード」「ハリアー」の4車種は、このメーカーの本当の実力を肌で感じることができる。だから本物のトヨタ好きはこの4車種のどれかを買う。トヨタとは究極的にはこの4車種のみのブランドだ!!と本音では言いたいのだろう。決してこれ以外のモデルに価値が無いというわけではないけども、「高級サルーン」「高級クロカン」「高級ミニバン」「高級SUV」の4ジャンルでは絶対に他社に遅れを取らないという決意を感じる。




トヨタ車のレベルは上がっている!?

シャシーが刷新され総合力を一気に上げた現行クラウンは、とりあえず日本市場で1000万円以下のごくごく常識的な価格で販売されているグランドサルーンの中では孤高の地位に復権した。新型ハリアーも「あからさま」にシャシーのランクアップ(復帰)がアナウンスされ先代(3代目)のオーナーは少々穏やかではないだろうけど、先代の方がデビュー時に内装のインパクトがあった気がするので、3代目を経ての進化から「トヨタの高級車ライン」にふさわしいフラッグシップSUVの理想形に近づいていくのだろう。

アメ車サルーンの現実・・・

クラウンやカムリなどのグランドサルーンは、「高級車の定番」というステータスのイメージを失いつつあり、さらに日本市場では使い勝手に制約が大きく、どうやら乗り越えることはかなり難しいようだ。多くのメーカーが代用しているが、アメリカ&中国サイズのサルーンでは日本市場には上手くハマらない。日本の賢明なユーザーは他市場の都合で作られたクルマをサイズだけで高級車とみなすほど愚かではないし、カムリ、レクサスES、アコード、ティアナ、MAZDA6、レガシィB4、5シリーズ、Eクラス、アウディA6にもはや「高級サルーン」としての特別な感情すら湧かない。




高級車なんかじゃない!!

高級サルーンの日本展開は完全に行き詰まっているし、高級ミニバンも街中に溢れて飽和気味であり、それらが発する倦怠感から、「クルマ離れ」とか呼ばれる「停滞」を生み出している。(多くのユーザーにとって)魅力がわからない「高級車(笑)」を各メーカーがゴリ押ししてもどうやら無駄だ。もうNBOXでいいじゃん!!200万円オーバーでも喜んで払うよ!!・・・っていう市場の「ストライキ」リアクションすら冷静に分析できていない様子のカーメディアだったりクルマに妙に熱い人々の言い分はもっともらしく聞こえるけど、やはり文句の矛先が違うんだろう。

期待のSUV市場は・・・

各メーカーがそれほど意図していなかった軽自動車の躍進に、対抗する普通車の期待の星だったSUVは、2つの「M」がラインナップの主軸に据えるほどであり、中堅メーカーにとっては「最後の希望」ですらあった。・・・がもう全てが手遅れでブームは完全に終わった(かもしれない)。SUVを生み出したトヨタがその手で、C-HR、RAV4、ハリアーの3台により制圧し、他社の希望を打ち砕いてしまいつつある。国内市場で圧倒的なシェアを築いているメーカーだけあって「売れるクルマを作るのが上手い」。




時すでに遅し・・・

SUVの元祖でありながらも、既存シェアモデルとの兼ね合いで国内市場へのSUV展開は後発と言われていたトヨタ。3代目ハリアーが発売された2013年頃はまだまだヴェゼル、エクストレイル、CX-5が単月の販売台数でハリアーの上にランクされることも多かったが、C-HRとRAV4であっさりと市場をジャックしてしまった。SUVへの考え方・作り方に関しても他社の知見を大いに取り入れてヒット車を生み出している。もはや完全にトヨタの勝ちパターン。

 

ヤル気の問題!?

「2つのM」をはじめとした日本メーカーの他社は、SUV開発における手持ちのカードを全て使っているようで、C-HRやRAV4への有力な対抗モデルが期待できそうにない。1社くらいは・・・、ランドローバーの新型ディフェンダーのような目を引くデザインで、ユーザーをスピリッチュアルな気持ちにさせるSUV(ディフェンダーはあくまでクロカンですが・・・)があっても良かったのでは。SUV市場への日本メーカーの腰が引けた意欲の無さこそが、ほぼ無抵抗にトヨタの独占を許す原因なんだろうが・・・。

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