BEVが欲しいわけではない
マカンEVはベース車とされるアウディQ6と比べても手頃な戦略価格で発売された。ポルシェとアルファロメオからより実用的なBEVが発売されたことで、BMWが独占していた「クオリティの高いBEV」市場が活発になりそうだ。いくらカーメディアが絶賛していてもテスラ、ヒョンデ、BYD、ボルボ、スバル、レクサス、トヨタ、日産のBEVだったら、無理にBEVを導入しようとは思わない。BMW、ポルシェ、アルファロメオだから買うという人は少なくないだろう。
日本メーカーでBEVの「潮目」を握っているのは、おそらくMAZDAだろう。BMW、ポルシェ、アルファロメオと肩を並べる実績を残してきた唯一の日本メーカーと言っていい。現状では日本市場向けの完全電動車はMX-30ロータリーEVのみで、後続距離を補うためにロータリー・レンジエクステンダーを使う仕組みは、2013年のBMW初期のi3の段階とも言える。中国と欧州には中国メーカーOEMのMAZDAブランドBEVが導入されているが、自社開発のBEVは2027年から販売を開始するようだ。
BEVの理想型とは!?
カーメディアもMAZDAの「遅過ぎる」BEV戦略を散々に非難してきた。MX-30の短い後続距離も、このBEVの特性や使い方を考慮しない無能なインフルエンサーによって「愚策」とか扱き下ろされていた。しかし最新の報道ではBMWが方針を転換し、バッテリー容量が大きくて2300kgもあり、エネルギー効率が良いわけでもなく、トラックのように路面を削り、タイヤの消耗も早く1万キロで交換時期を迎える等々さまざまな問題に対応するため、初期のi3のレンジエクステンダーを新型にも導入すると発表した。
すでにグレードが廃止されたBEVのMX-30 (451万円) は、車重が1650kgしかなく、走りの面では高い評価を得た。航続距離も256kmしかなく、自宅から駅、学校、買い物、実家などを回る範囲での利用を想定していたが、日産サクラ (249万円) によって需要はほぼ吸収されてしまった。1780kgに抑えたMX-30ロータリーEV (435万円・170ps) は、ICE感覚で使えるが、より実用的なエクストレイルe-POWER (360万円・204psで車重はMX-60REVと同じ) との比較でスペック負けしてしまう。