世界戦略に不可欠な技術
欧州や北米での市場維持が必須なMAZDAの戦略において、BEVやPHEVの販売を義務化している地域への対策としてMX-30が開発された。日本にはそのような義務はないので、販売する理由もなく販社も消極的なのかもしれない。北米ではCX-90PHEVの導入とともにお役御免となり販売は終了した。一方でPHEVやHEVでCO2エミッション基準をクリアしなければいけない欧州では、CX-60PHEV、MAZDA6e、MAZDA2HEV(トヨタOEM)とともにMX-30の販売が継続されている。
藤原清志さんが副社長時代に答えたインタビューで印象的だったものがある。2000年以降に日本の家電メーカーが一斉に下火になったのは、人件費による価格競争に負けたからと言われているが、実際のところは欧州の家のデザインに合う家電を日本メーカーは作れず、韓国や中国メーカーのデザインが上回ったからだ・・・といった内容だった。人件費を理由にした日本の自動車メーカーは生産工場を分社化するなどして、日本の給料が上がらない仕組みを作った。
ポリシー
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、スマホ、音楽プレーヤーなど大手通販サイトで検索するとハイアール、ハイセンス、TCLなどの中国メーカーが支配的なポジションに立っていて、日立や東芝の製品はデザインでも価格でも厳しい戦いを強いられている。感度の高いBEV系インフルエンサーは「BYDがトヨタを超える」と警告するけども、確かに両社のラインナップをデザインで比べたら、とてもじゃないがトヨタにアドバンテージがあるとは思えない。レクサスは周回遅れじゃないか?
MAZDAは藤原さんのような優れた感覚のリーダーがいたこともあって、相手がBYDだろうが、テスラだろうが、デザイン面では一歩も引けを取っていない。北米、欧州、中国どの主要市場でもフェードアウトせずに世界の第一線でシェアを伸ばしている。資本の規模や売上ではトヨタ、ホンダ、日産に遠く及ばないけど、「商品の競争力」さえあれば、7割が国内生産(全て直営工場)だとしても生き残れることを見事に証明している。やり方こそ違うけどもBMWにも同じことが言える。