サルーンの進化論・レクサスES

 

普及版レクサス・注目グレードは約800万円

レクサスESとかいう新種はカムリHVの高級版くらいの認識でOKなんだろうけども、いよいよ日本でも販売が開始されたらしい。さすがはトヨタと言うべきかこの手のクルマ(サルーン)を売る術を心得ている。カムリHVでは新型ユニットでセンセーションを巻き起こし、今回のフィッシングのネタはちょっと地味だけどすごーく気になる話題のデジタルアウターミラーなんですが、これは最上級グレード・バージョンLだけの専用オプションになっている。698万円のバージョンLの本体価格に、デジタルアウターミラーが21万6000円、さらにデジタルバックミラー10万8000円の高額なオプションになる。乗り出しは800万円を超える!?これがそれなりに売れちゃうのでは!? ちなみに通常ミラー版なら580万円〜の設定です。

 

高機能過ぎる普及版

たとえ800万円でも、世界初の市販車技術で周囲にもデジタルミラーの存在をアピールできるから、ぜひ乗りたいと思うオッサンは一定数いるんだろうな。せっかくサルーン買うならその手の満足感が欲しい!!という心理を見事に射抜いています。単純にレクサスLSよりも広々した車内にも大いに納得できるし、直4ハイブリッドは動力性能も経済性も魅力的だ。アルファード、レクサスRXと並ぶトヨタの高級ファミリーカー路線として一定の需要は得られるのだろう。カムリHVがそこそこ売れているので難しい!?よりディープな『ファイナンス・フリーな層』の需要を呼び起こす可能性はありそうだけども。

 

ユニットも自信あり

改良が進むCVTと2.5L直4を使ったカムリ由来のハイブリッドシステムは車重が1600〜1800kgくらいのサルーンとしては理想的であり、北米で販売されている3.5LのV6を搭載した300ps級のモデルの投入は考えていないようだ。日本市場でサルーン好きでクルマ難民(次に買うクルマが見当たらない)で大騒ぎしている人は、セダンのターニングポイントとなったカムリHVには乗りに行ったのだろうか!? もちろん同等の縦置きユニットを積んだクラウンでもいいのだけど、直4とモーターが5:5で機能するトヨタのサルーン向けユニットはおそらく完成形を迎えつつあるのだと思う。1997年のHV発売から20年が経過したけども、カムリHVがトヨタが当初に目標としていた到達点な気がする。

 

良いもの と 普及品

世の中の工業製品には「良いもの」と「普及品」の2つが、光と陰のように対になって存在しているケースが多い。全ての工業製品は「良いもの」であるべきであり、同時に「普及する価格」で提供されるべきである。例えばトヨタのサルーンという狭いカテゴリーの中では「クラウン」と「カムリ」が対比される。そして同じようにレクサスのサルーンにおいては「LS」と「ES」が同様の関係になる。今後はこの2台のサルーンを軸にレクサスというブランドが新しく形成されていくのだろう。さて800万円(目玉グレード)の「普及品」となったレクサスESですが、大きな価値が見出せる!!くらいにレクサスブランドは信頼を得られているのだろうか!?

 

選ばせる

人によって価値観が違うだろうけども、こだわって身の回りの品物を選んでいる人には、「絶対に行かないお店/ブランド」というものが出てくる。自動車ブランドも同じで、クルマが好きであればあるほど新車を買う際に対象となるブランドは自ずと限られているものだ。ちょうどその人の感覚の中で「良いもの」と「普及品」のどちらもが存在していて、ちょうどブランドが自分の価値観を『跨いでいる』ところに行くんじゃないだろうか!?ポルシェやマセラティに「普及品」(マカンやギブリ)が見出せない人にはまだまだ敷居が高いってことになる。

 

日独6ブランド

リアルな数字を出して下品な限りだけども、30歳・年収800万円ならば・・・メルセデス、BMW、アウディ、トヨタ、日産、ホンダの日独それぞれの3強が候補として絞られてくるのではないだろうか。レクサスではちょっと「普及品」が見当たらないし、逆にマツダ、スバル、VW、プジョーなどは・・・まだまだ「良いもの」が追求しきれていないかな!?という気がする。そしてこれは当然の結果なのかもしれないけど、メルセデス、BMW、アウディ、トヨタ、日産、ホンダの6メーカーはそこそこ売りやすい環境にある。この6ブランドだけが、そこそこの値段のサルーンをまとまった台数で売るポテンシャルを持っていると言える。

 

「5:5」VS「48V」

これら6ブランドでもサルーンのHV化は待ったなしで進んでいるのだけども、トヨタやホンダが推し進めるハイパワーなモーターを備える「5:5」を踏襲するブランドと、メルセデスとアウディが一気に進めている「48V」方式に大きく分けられる。いち早くフーガとスカイラインで高性能車向けハイブリッドを主導した日産の、次世代型はまだ不透明な部分が大きい。独自の高回転ターボユニットを生かすなら「48V」だろうけども、「e-POWER」というブランド名とともに「5:5」を進めているらしい。そしてBMWはトヨタとの技術提携の成果なのか(BMWは独自技術と言っているけど、最近のこのメーカーはあまりに嘘と疑惑が多いのが気になる)、PHVを展開していてとりあえず「5:5」型に組しているようだ。

 

エンジンを回したいか!?

メルセデスはISGやBSGと行った48Vモーターによるマイルドハイブリッド機構を使って、従来のターボエンジンをより高回転まで使えるユニットを車格問わずに展開し始めた。48Vは今後はアウディ、ポルシェ、マツダによって一定の勢力になる見込みで、日本のセダンユーザーは「5:5」のフルHVと「48V」のエンジン主体ユニットのどちらかという強烈な選択を強いられそうだ。さらにアウディ&ポルシェはすでにPHVも公開しており、「48V」「5:5」の両方を同時に進める「負けない」戦略を採っている。今のところメルセデス&マツダはエンジンの主体性を尊重したユニットの開発に力を入れているのに対して、VWグループは水平対抗ターボ以外はどうもそこまで力が入ってはいない。

 

トヨタ&ホンダを打ち破るのは!?

400万円くらいのごくごく基本的なサルーンから、1000〜2000万円に位置するラグジュアリーサルーンまで、「48V」「5:5」の両陣営は激しい戦いを繰り広げつつあるようだ。今のところは結果は全く読めないけど、「常勝」のトヨタ&ホンダが引っ張る「5:5」陣営に対して、メルセデスとマツダならば「常勝」メーカー相手でも、何か突破口を見出してくれるんじゃないか!?

 

レクサスESは「歴史」に残る

単純比較にならないのがややこしい。「5:5」陣営の中で最も優秀なクルマが「クラウン」で、「48V」陣営でそれに対抗するのが「Cクラス」だったとして、直接に比較するには色々と難点がある。モーター出力が多ければパワーと燃費には「5:5」が勝るだろうけども、エンジンの高回転領域の気持ち良さを味わうなら「48V」。どちらも今後は長所をどれだけアピールできるのか!? 激化が予想される(期待される)次世代サルーンの最前線に「50:50」の決定版として送り込まれてたレクサスESには、日本のサルーンのマーケットを根底から深く揺りうごかす、あるいは「48V」派の存続すら潰してしまうマーケティングの鬼になるかもしれない・・・。

 

「レジェンド発表!!・・・で高級車を考える」

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