前田育男デザインに問題あり!?
MAZDAも覚悟はしていたであろうけど、SUVの新しいアイディアを求めて彷徨っていたトヨタ&ホンダの目の前に、ちょうど良いCX-5(第二世代)が躍り出た格好となった。もしCX-5がBMWやポルシェのようなアクの強いSUVだったら、つまり従来のMAZDA車のようにどこかトゲトゲしいイメージを残していれば、ハリアーやヴェゼルが真似をすることはなかったと思う。俣野努(初代ロードスター)、荒川健(ユーノス500)、佐藤洋一(RX7FD3S、GHアテンザ)といったMAZDAのレジェンド級デザイナーが描いたMAZDAと違って、前田育男チーフになってからの「魂動」は確かにクオリティーは高いのだけど、従来の生々しかったMAZDAデザインから、「モード」&「ポップ」で相当にブラッシュアップしてしまった。
世界のど真ん中に出てきたMAZDA
前田さんのデザインは、MAZDAでなくても通用する普遍性が宿っている。東洋の神秘のスポーツカーメーカー・MAZDAから、ニューヨークやロンドンなどの大都市の中心のハイセンスな「日常」すら感じさせるフォルムに変わった。ハリアーやヴェゼルにとっては、これがまさに求めていたデザインに近いのだろう。ここまで書いておいてなんだけど、個人的にはデザインにはあまり興味がない。本当のMAZDAファンは「デザインには興味がない」人だと思っている。機能面から好んで乗っているMAZDAだけど、たまたま好きなブランドが、今も昔も洗練されたデザインだったってだけの話だ。最初からデザインありきでクルマの良し悪しを語る輩はクルマ所有してもあまり幸せになれないと思う。実際に所有してしまえば、どんなクルマでもカッコよく見えてくるもんだ。かつて乗っていたトヨタ車も何度も乗るうちに味のあるデザインだと気づいてどんどん好きになった。