アウディの立場が危うい
アウディが日本で人気がない。まだまだ「憧れ」みたいな感情は残っているようだが、どうも決定的な人気を誇るモデルに恵まれないらしい。同じVWグループの一員であるポルシェが、アウディのシャシーを使ってマカンや2代目パナメーラと作り、日本でもバックオーダーを抱える人気になっていて、高級ブランドとしてのアウディの立場が曖昧になってきている。同じお金を払うならば、アウディA7よりもパナメーラだし、アウディQ5よりマカンになってしまうのは仕方のないことかも。
デザインブランドの代名詞!?
存在理由が薄まっている上位モデルに対して、VW車をベースにしている下位モデルも約50万円ほど割高になっただけのモデルに見られてしまっている。VW車もここ数年は内装のレベルが上がっていて、冷静に比べて見ても、無理にアウディを選ぼうという気にはなりにくいようだ。ポルシェとVWがあればもうアウディは要らないのか!?ポルシェの直感的で躍動しすぎているデザインも、VWのコンサバ一辺倒のデザインも気に入らないという独特の美的センスの持ち主にしかアウディは響かないブランドになってしまったのか!?
アベレージは高い!!
アウディ車の『ワクワク度』はやっぱり低いのか!?主観的な評価に過ぎないのですけども、じっくり考えた結果出した数字を見て見ると、平均値においてはBMWやスバルを軽く上回る数字を出しています。しかも『ワクワク度」シリーズでは、対象となるクルマは「1000万円以下のカタログプロパーモデル」だけなので、R8やRS7といった超絶モデルは除いてあります。まだまだアウディにはいいクルマがあるよー!!って伝えられたらいいけども、この5台はなかなかいいと思いますよ。
第5位 TT (ワクワク度30%・471万円〜)
アウディ✖人生
正直言って人によって温度差はあると思う。VWゴルフのシャシーを使ってスポーツカーもどきのボデーを乗せただけの非スポーツカーだ!!とつれないジャッジをする人もいるだろう。確かにそうだ!!私もそう思う。これはスポーツカーなんかではない。ごくごく一般的なモデルをベースにした改造乗用車であり、10年くらい前に消えたトヨタ・セリカみたいなものだ。セリカのためにトヨタはヤマハに製造を委託した高回転ユニットを積んでいたけども、アウディTTのような存在にはなれなかった。トヨタの殻を破った革新的なデザインだったのだけど・・・。
リスペクトで売る
アウディTTの成功に刺激を受けてプジョーRCZや、ホンダCR-Zといったモデルが出てきたけども、いずれも1世代で姿を消した。トヨタもホンダもプジョーも継続できなかったけど、アウディは3世代も続いている。さらに日産フェアレディZやマツダRX-8など世界的に知られたスポーツカーのデザインもまた初代アウディTTの影響を否定できない。正直なことを言ってしまえば、実用性がない乗用車もどきのコンパクトな2ドアクーぺに需要などあるはずがない。アウディTTが3世代で築いたものは、自動車業界を見事に刷新した「過去の栄光」に対する世界の自動車ファンからのリスペクトを一身に受ける孤高の立場だ。つまりアウディってスゲーって話。
第4位 A5 (ワクワク度40%・546万円〜)
このクルマとともにアウディは語り継がれる
アウディ車はどれも似たような顔つきなんですけども、ボデーのバランスにおいては「ずんぐりムックリ型」と「繊細セクシー型」に作り分けていて、特に「4と5」や「6と7」の違いはボデーの厚みですぐにわかる。どっちが好きかは個人の好みの問題だけども、他のブランドのクオリティの高いデザインと競わせるならば、「5」や「7」の繊細なスタイルの方が競争力がある。そして20年後も「名車」として人々の記憶に残るだろう。
アウディ版セフィーロ
A5を選ぶ人はナルシストと言われるかもしれない。なぜお互いクルマが好きなだけの赤の他人が、公道を共有するだけの関係なのに、「ナルシスト or not ?」のように内面を評価し合わなければいけないのか!?インターネット画面を開けば、世界中の無名のど素人が素顔を晒している。だからどこの国の人々も以前より外見にこだわっているように思う。就職面接は外見で決まる。女性だけでなく男性も外見で判断される。新型車もデザイン次第でユーザーの関心のシャッターはすぐに閉まってしまう。どこのメーカーもデザイナーにとんでもない年俸を払っている。
第3位 S1 (ワクワク度45%・423万円〜)
乗る前から刺激的だ・・・
アウディが小型車のキャパを超える設計の市販車を出してきた。この「S1」のような企画こそが、現代の自動車産業においては最も魅力的な企画に思える。どっかの巨大メーカーの社長さんもすっかり感激したようで、200psを超えるユニットをBセグ車に押し込んだモデルをイギリスから逆輸入して発売した。コンパクトカーだけどもキャビンの上部がしっかり押さえ込まれてフラットな走りができそうなスタイリングに加えて、見るだけで「走りの想像」が膨らむ小柄なボデー。全てが計算づくなんだろうけども、クルマの企画ってのは奥が深いですね・・・。
第2位 RS3セダン (ワクワク度60%・785万円)
アウディの秘宝エンジンは横置き
アウディはつまらないという批判への明快なレス。横置きエンジンのアウディは確かにVWからの流用だけど、その横置きユニットが、世にも珍しい直5になっているのがRS3のエンスー的ポイント。2.5Lターボで400psを絞り出すスペックからも想像できるけども、かなりの高回転ターボユニット。しかもロングストローク!!ポルシェのボクサーターボにも負けない5850rpmピークなので、十分に誇れるスポーツユニットが載っている。5500rpmピークのBMWのM2/M3/M4用ユニットを上回るエンジニアリングの結晶。価格でライバルとなるM2は370ps止まりですから、完全にアドバンテージを持っている。Cセグにしては伸びやかで妥協していないセダンデザインも美しい。エンジンとスタイリングそれからベストチョイスといってもいいDCTが組み合わされている。スポーツセダンの理想へがむしゃらに突き進むのが『RS』の魅力。
第1位 TT-RS (ワクワク度65%・989万円)
箱根が似合う
RS3と同じユニットが、低重心のTTシャシーに載っている。さすがに価格は1000万円ギリギリまで。ケイマンGTSと同等の価格帯。相手はRRの2WD車なので当たり前だけども、改造乗用車が専用設計スポーツカーを圧倒する加速性能を持っている。おそらくMQB使用モデルでは最速。0-100km/hは3秒台なのでもはやウルトラ・サーキット級のスペック。BMW・M5よりも早い。ちょっと発売された時期が遅かっただけで、このクルマの存在価値はGT-Rやランエボに匹敵する。10年早く発売されていたら「頭文字D」のラスボスとして登場したかもしれない。箱根のタイトな急勾配ヒルクライムが似合うのは初代NSXではなくてこのTT-RSだと思う。「MF-GHOST」に登場させるべきだ!!