究極の設計
2トンの箱が乗るシャシーとそれを引っ張るユニットをベースにした基本構成を元に、より軽量なモデルには小型のエンジンを組み合わせてCVTで引っ張るモデルが、トヨタ&レクサスの中型車ほぼ全域を覆い尽くすようになった。「ALPHARD-ER」とでもいうべき一族は、スライドドア設計のシャシーでありながらも、C-HRやカローラスポーツなど「ハンドリングマシン」として売り出そうという仰天のビジネスセンスが光る。したたかと言うべきかトヨタのマーケティングの市場破壊力は今に始まったことではないが、改めて恐ろしさが垣間見える。さらにレクサスNX、UXもこの同じシャシーで仕上げている。ハリアー、カムリ、RAV4、レクサスES、レクサスRXに使われる北米向けのTNGA-Kプラットフォームも基本理念は同じで、北米向けの5m級SUV(車重2.5トン)にも対応するタフシャシー版だ。
貢献利益ゼロ
冒頭にも書いたけどトヨタの利益率は10%に達している。その利益のほとんどは日本市場で稼ぎ出している。紛れもなく「ALPHARD-ER」戦略の大勝利だ。そしてグローバルでのレクサスの稼ぎ頭になっているのも完全にESとRXであり、やはり「ALPHARD-ER」レクサス版で利益をかき集めているのが実情だ。トヨタの極端な戦略の影響もあるのだろうけど、残念なことに北米でも中国でもFRサルーンの市場は縮小している。メルセデスもBMWも日本メーカーから調達したFFシャシーを使ったモデル群なしには経営が成り立たなくなっている。これではクラウンやレクサスISが現行モデルを持って幕引きとなるのもやむを得ないかも・・・。