ヤリスクロスが暴いた日本市場の品位
結局のところトヨタが開発において競争力を発揮できるのは「燃料電池車」と「ミニバン」だけなのだと悟ったらしい。国内専売のヴェッツからグローバル車のヤリスに変わったことで、クルマのレベルは格段に上がったが、それはVW、プジョー、ホンダ、MAZDAなどすでにグローバルBセグを売っているメーカーが10年前に完成していたレベルに並んだに過ぎない(異論はあるかもしれないが・・・)。トヨタからの情報によると「ヤリスクロス」は元々新興国向けのクルマとして開発されていたようで、内装レベルが日本市場の他の同セグメント車よりもやや低く感じるのは決して気のせいではない。新興国向けモデルを日本で売るという、他の国内外のメーカーがやらない試みをやってみたら、4万台近い初期受注を積み上げてしまった。昨今の日本市場で過当競争化していた小型車インテリアの高級化は、日本市場のユーザーにとっては、ややオーバースペックだったのかもしれない。
中国車ではなくインド車!?
既成事実として「ヤリスクロス」が売れた日本市場には、いよいよアレがやってくるかもしれない・・・SAIC(上海汽車)、GAC(広州汽車)、GEELY(吉利汽車)、GREATWALL(長城汽車)などの中国ブランド車は、すでに日本向けにはちょっとハイスペックかもしれない。実際にヤリスクロスよりも高品質なモデルが目立つ。VWのUP!くらいの割り切った質感のBAJAJ(インド)、MAHINDRA(インド)、TATA(インド)のモデルでも、価格を武器に日本市場では全然通用してしまうのだろう。案外に軽自動車よりも乗り味が良いかもしれない。一定レベルのEV化が国際社会向けのポーズとして行われ、東京都などではEVがスタンダードになるかもしれないが、それ以外の日本市場においては「自動車インフラ」としてコストの極限で通用するような、東南アジア、南アジアで拡販している小型車が主流になりそうだ。