エゴイスティックな刷新
残された道は、テスラのような完全BEV化に踏み切るか、某・日本メーカーM社のSUV作りを参考にさせてもらうくらいしかなかっただろう。レクサスはブランド全体としてのBEV化を明言しているし、そしてそれと同時に新型レクサスRXは、やたらとフロントノーズが長いデザインに変更になった。先代RXのリアのオーバーハングは不必要に長く、残念なまでのデザインの緩みを生んでいたが、新型では徹底的に改善された。
どうすれば「質感が上がって」かつ「スポーティ」になるかのかを考え続けた結果なのだろうけども、その代償はなかなか大きくて、900万円の最上級グレード「500h」のモード燃費はハイブリッドとはいえ14.4km/L程度にしかならない。某M社の直列6気筒ディーゼルの縦置きエンジンモデルだと21km/Lくらいなので、そもそものトヨタに横置きを選択させた前提に、まさかの綻びが出た格好になっている(あくまで想像に過ぎないが・・・)。
高級車開発の苦悩
900万円もするクルマの取り柄が「燃費」では商品として成り立たないのは確かだ。その分だけ動力性能は高まり、どっかのジャーナリストが動画で「900万円なんて安過ぎるよ!!」と連呼していた。これまで徹底的に輸入車を締め出す政策をとってきた日本では、輸入ディーラー(インポーター)の店舗経営も楽ではないので、当然ながらアメリカ市場の3割増くらいの価格にならざるを得ない。そんなドイツ車の日本スペシャル価格と比べて「(相対的に)安い」なんだろうけど、AJAJライターならその辺の事情までしっかり説明してほしいところだ。
高級車の開発には、「金持ち向け」という呪縛が大きくのしかかる。もはや軽自動車でもシートヒーターは当たり前に付く時代だから、その上をいくシートベンチレーション(シートクーラー)の標準装備などが前提になる。しかし真夏日&猛暑日にクルマで出かけるのを避ける人には、この装備は不要だといえる。レザーシートも今では200万円台のメインストリームど真ん中のクルマにも当たり前に設定されている。その上をいくためには、カーフレザーなど付加価値が高いレザー素材を外注して装備する。そのために日本向けのドイツ車は中国経由で内装を仕上げて入って来るのだけど、その過程にお金払う必要あるか!?