レクサスらしい「走り」
「アウトバーンで鍛えられたドイツ車」みたいなベタな表現で、メルセデスやBMWの高速巡航性イメージは形成されてきた。実際に日本の高速道路で150km/h以上で右側車線を走り抜けていくのは大半がドイツブランド車だ。日本車で多いのはホンダかレクサスだろうか。「スライドドアのBMW」とか言われたホンダはともかく、レクサスも高速道路では元気に走っている。クイックな応答性などはないのだけど、高速巡航性に関しては「高級車の素養」としてしっかり身につけている。
レクサスISの3.5LのV6モデル(IS350)は、本場の北米むけレクサスを日本でも味わえる稀有なグレードである。アクセルやステアリングは全くクイックなレスポンスではないが、そのおかげでストレートでも、さまざまなRのコーナーでもピーキーな挙動にはならず非常に安定感が高い。クルマに癖や骨っぽさなんて要らないし、乗り手が存分に信頼できる走りができればそれでいい・・・という意味では非常に完成度が高いクルマになっている。
レクサスの強さの秘密
もちろん車体が軽い方がコーナーリングでは圧倒的に有利なのだけど、ホンダやMAZDAの直4モデルだと、ブレーキングやコーナーからの立ち上がりで、エンジンへの高負荷や、タックインなどでトラクションが激しく変わる脆さもある。平均的な技能のドライバーだとエンジンとミッションの協調にギャップが生まれて、ちょっとシャクるような挙動が出てしまう。ステアリングやアクセルのレスポンスの良さが裏目に出てピーキーな挙動に拍車がかかる。そんなじゃじゃ馬を御すのが好きな人が買うブランドではあるが・・・。
ホンダやMAZDA、あるいは三菱、スバル、スズキなど、いまだに群雄割拠の日本メーカーは、一般的には輸入車よりも機敏に走るクルマを作り続けて、日本における「スポーティ車」のイメージを積み上げてきた。そんな日本のメインストリームメーカーのトレンドなど最初から完全に無視してきたのがレクサスである。「快適性スペック基準」に全振りすることで、高級車市場の王者に君臨することができた。