レクサスを脅かす台頭
しかしレクサスも、IS350のような王道モデルだけで商売するわけにはいかず、重厚感をそのままにカムリのシャシーを使ったレクサスESとRXが10年くらい前から北米市場での屋台骨となっている。プロペラシャフトがないので静粛性はより向上するし、高速巡航に欠かせない直進安定性も、ある程度の車体サイズと車重が確保されて入れば横置きの方が確保しやすい。
日本市場においてもESもRXも既に導入されている。日本の道路事情ではちょっと気を遣う「北米ミドルサイズ」が一定のニーズを呼び起こしているようだ。しかし10年ほど前から、日本の某メインストリームブランドが、従来の軽量&レスポンス主義を放棄し、ディーゼルエンジンをミドルSUVに載せて販売したところ大成功を収めた。レクサスが独占しつつあったテリトリーで、格下ブランドが革命を起こした格好だ。
日本車の殻を破ってきた
レクサスの専売特許だった大排気量の余裕のトルクに匹敵するレベル(40kg・m)を、直4のディーゼルでいとも簡単に出してしまう。さらに縦置きシャシーまで用意して設計された新型SUVに搭載される直6ディーゼルでは56.1kg・mまで上がった。今までの日本車ではメジャーでない設計ということで注目度も高い。これまでレクサスが温めてきた市場を横取りされてしまった。
もはやTHSの低燃費にこだわっていては、レクサス本来の「余裕ある走り」の領域は深められないとの判断だろうか、2.4Lガソリンターボはディーゼルに引けを取らない46.9kg・mまでトルクを上げてきた。これに電動モーターで前輪に29.8kg・m、後輪に17.2kg・mが追加され、システムでの総合トルクはわからないけどレクサスとしては「絶対に負けられない戦い」に全てを投げ出して挑んできた。