まさかの6速化
レクサスとM社はどっちがどっちをパクったのか、意見は分かれるだろうけども、新型レクサスRXの最上級グレード「500h・Fスポ・パフォーマンス」(900万円)では、ミッションを6速に圧縮してダイレクト感の強化を図ってきた。これだけトルクを増幅したのだからエンジンのスペックにある程度は任せて変速を減らして、エンジントルクが気持ち良く盛り上がる時間を稼いでいる。これは某M社のC○-5の2.2L直4ディーゼル車と同じ発想だ。
このM社の2.2LディーゼルモデルとレクサスIS350の雰囲気はどこか似ている。同じエンジンを搭載するセダン&ワゴンも存在するが、これなどはレクサスのV6のようにエンジンもシャシーも「底付き感のない」余裕の走りという意味では非常に互換性が高い。ディーゼルエンジンの運用には注意すべき点も多いのだけど、レクサスの同等のトルクエンジンと比べても経済的ではある。
完全勝利の設計
2030年のBEV化を宣言しているとはいえ、レクサスの存在意義を失うような事態は避けたい。レクサスRXは「レクサス的な走り」にシフトしてきたM社に対して、トヨタグループの威信をかけて徹底的な作り込みが施されている。M社のモデルには設定されていない「快適装備」がいくつも備わっている。たとえば後席のリクライニングだったり100V電源だったりで差別化はできている。
さらにM社が好評を得ている要素は全て取り込んできた。トヨタ車では普及していないヘッドアップ・ディスプレーは、高速巡航時の定速運転に非常に役立つ。クルーズコントロールがあれば不要という意見もあるけど、道路状況に応じて機敏に走りたい人にとっては欠かせないシステムである。M社のSUVとレクサスRXを乗り比べても動力性能としてはそこまで差はないだろうけど、レクサスの得意分野である「快適性スペック」で完全に上回っている。見事な戦略だ・・・。