カローラではダメな理由
豊田章男社長になってから、GR86やGRスープラがトヨタのラインナップに登場し、トップメーカーが率先してカーライフの多様性を牽引してくれた。トヨタがスポーツカーを重視すれば、他のメーカーが開発に踏み切るハードルも下がる。しかし協業による開発では思いの外にトヨタらしさが出せない。現行のトヨタ&レクサスだと、デビューから10年を超える現行レクサスISくらいしか「オリジナルのロードカー」はない。カムリは・・・ちょっと大きい。
新型のパワーユニットが搭載され、「トヨタ純正ロードカー」としての側面を強調させてきた新型プリウスは、大所帯のトヨタ&レクサスラインナップの中でも独特の立ち位置を獲得した。どっかの評論家がカローラの「4ドアクーペ」だとか的を射た説明をしていた。しかし現行のカローラは、2000年頃にトヨタが欧州への本格進出を進める中でVWゴルフ・シリーズのスタイリングを模したものが、日本市場の現行モデルにも引き継がれている。
EVシフト前の最終モデル
欧州車のスタイリングを徹底したコスト最適化で手頃なパッケージにするところがトヨタらしさなのかもしれないが、カローラシリーズは、THSを搭載していること以外に他のメーカーにはないトヨタらしさがあまり感じられない。弾ける前衛的なトヨタが好きという人にとっては、現行カローラよりも新型プリウスにブランドとしてのカタルシスを感じると思う。
レクサスも既に完全BEV化が発表されており、トヨタらしさを残していたレクサスISとRCもFMCもなくエンジン車のタームを終えそうだ。2030年あるいは35年で日本市場でもエンジン車&HVの販売禁止が行われることは、河野太郎、小泉進次郎、小池百合子が首相にでもならない限りはなさそうだけど、トヨタがBEVに開発資源を大きく割くと発表される前の最後のエンジン搭載モデルが、この新型プリウスであったことは間違いない。