2台のロードカー
自分中心の話で恐縮だが、GHアテンザの前に乗っていたのが、カローラランクスZエアロであり、GHアテンザが4735✖︎1795mm、カローラランクスが4095✖︎1695mmでボデーサイズも大きく違うのだけど、この2台がそれぞれ日本を自在に走る「ロードカー」して上限、下限のサイズなんじゃないかと思う。日本各地にある隘路をこの2台で幾多となく進んだ。5ナンバーのランクスでは特に際どい思いをした記憶がない。狭い駐車場でも楽に停められる。GHアテンザもかなりの数の林道を走破した。凸凹の岩肌に寄せて行き違いをする時は気が気じゃなかったし、ちょっとコース採りを間違えれば切り返し・・・だったが、ランクスに比べて居住性が高く、最も違いを感じたのはCD値の違いからくる風切り音と、中間加速の良さ。ランクスの方が軽量で高出力のエンジンを積んでいたのだけど、高速道路での加速はGHアテンザが完全に上。ランクスは高速移動中は助手席にも大きめの声で話す必要があった。
FR車を超える走り・・・
今でも鮮明に覚えているけど、ランクスでは2000年頃の中央道の流れに乗って走るのが精一杯で、雨天で臨機応変にレーンチェンジでもすれば、足元がかなりフワフワして生きた心地がしなかった。しかしGHアテンザに乗り換えるとそんな不安はびっくりするくらいに一掃された。トヨタや日産のFR車よりも直進安定性は優れていて、おそらく高速道路上で最も落ち着いてコントロールできる部類のクルマじゃないかと思う。当時のMAZDAがPRしていた通りの「最良の高速ツアラー」だった。いずれにせよランクスとGHアテンザのカーライフは非常に良い思い出だ。残念なことに今では「2ZZ」や「MZR」のような自然吸気のショートストローク4気筒なんて新車では手に入らない。2000年頃まではホンダでもアコードとシビックがちょうどこの2台のような補完性を持っていた。しかし現行のシビックは「帯に短し、襷に長し」な印象がある。MAZDA3に関しても同じことが言えるかもしれない。作り分けが可能であるならば、もっと「小回り」か「CD値」のどちらかに振った「ロードカー」であってほしい。