最初っから小沢コージさんみたいなこと言っちゃいますが、「日本人はドイツ車の貴族的な側面ばかり見て満足している。だからダメだ。」。最近どーもオッサン達がメルセデスやBMWに対してギラギラした眼を向けなくなったなと感じております。まだまだ日本車が280psの自主規制の中でクルマを作っていた時分には、その規制から開放されていた高級輸入車は「自由と権力」の象徴的な存在でした。「500SEL」なんて聞くと、おー!すげー!!って思ってしまいますけど、よくよく調べてみると最高出力は190psなんですけどね。それでも「AMG560」になると350psに達していましたが・・・。
とにかくそのイメージが強烈過ぎて、メキシコ製ドイツ車のゴルフや、南アフリカ製ドイツ車の3erが廉価で人気になっても、「ドイツ車」としては異端な存在にしか認識されず、相変わらず日本人の意識の中での「ドイツ車」はメルセデスとポルシェですね・・・。2000年代以降のアウディの成功は、日本人による日本人好みのデザインもありますが、ブランドに備わる「力強さ」が「ドイツ車」のイメージに上手く重なった部分もあると思います。けれども昨今のドイツメーカーは「力強さ」など放り投げたかのように、草食系のクルマを作るようになってまして・・・石油を使うのが大好きな日本人を「混乱」させています。
ドイツがエコの国と言ってしまうと、アフリカ諸国からは「ふざけんなー」と反発されそうですけども、ドイツ法制が「国民意識」を反映したものだと定義するならば、日本やアメリカよりは数段進んだ「環境」への配慮を持った国だと言えそうです。V8メルセデスへの憧れ(AMG信仰)に囚われている日本のオッサン達は、極論するとアメリカ的な浪費文化の感覚でドイツ車を見ているわけです。しかもアメリカ向けに作られた、大排気量ながらもでもそんなに高価というわけではないドイツ車ではなくて、東アジア向けマーケティングによる徹底的に割高で「虚構」のドイツ車をさ・・・。「セレブのクルマだから仕方ない」と言い聞かせて自分を奮い立たせないと、V6のメルセデスに1200万円も出せないですね・・・ただしこれは日本、中国、韓国、香港、シンガポールでしか成り立たない価格設定ですけど。
「ドイツ車なんてクソだ・・・」そんな安易なコトを言う前に、歪な方向に進んでいる日本のクルマ文化(クルマへの意識)に大革命でも起こさなければ、タクシー&レンタカー以外の乗用車は日本で販売する余地が無くなってしまうんじゃないか?といった危機感を抱いています。世界最大の右ハンドル市場である日本に、グローバル展開で右ハンドルが設定されたフォード・マスタングがやってこないなんて皮肉なコトも起こっています。輸入車が売れるためにはトヨタを叩け!と考えている人も居るようですが、そーじゃないだろ・・・。
BMW・M4が日本のほぼ半額で買えるアメリカは確かに羨ましい!!!けれどもM4がアメリカ価格の650万円になったとしても、あまり有り難みが無い気もします。そもそも忙しくてサーキットにもなかなか行けないのに400psをどこで使うんだ?。デートカーにするなら650万円でフーガでも買ったほうが良くないですか? 400万円くらいで買えるアテンザ、アコード、レガシィでもいいじゃん。・・・と落とし所がだいたい決まってくるワケですが、そこに切り込んできたBMW318i。価格を見る限りではMスポでも400万円でコミコミOK!!みたいですね。なんかジリジリと価格を上げてきた日本メーカーに対して、一石を投じるような期待感もありますが、これまでスペックにこだわり過ぎてきた「愚かさ」を見透かすかのような「自由」を感じます。もしかしたらこれがドイツ車の新境地なのでは!?
オッサン評論家はBMWの縦置き・直3に対して批判的なレビューをすると思いますけど、逆にそれがこのクルマの価値を高めてくれるんじゃないですかね(期待し過ぎか?)。とにかくゴミみたいな現状を打破できる「何か」を、ひたすらに自動車メーカーから求め続けているだけの、無責任過ぎるクルマ好きとしては、そういう空気を少しでも感じるモデルが出た時は、目一杯騒いであげるのだせめてもの礼儀だなと思うんですよ。最近では「スカイライン」「アコードHV」「RC-F」「MTのゴルフGTI」「4代目プリウス」「ルノー・トゥインゴ」「インプレッサ」などなど。ここに「318i」を追加したいと思いますね。