「もし10年前にこのノートe-POWERが完成していたら、日本市場の普通車販売は今とは全く違う様相を呈していたのでは?」というくらいに、日本市場のツボを見事に心得た新型コンパクトカーが登場しました。リーフの発表が2009年の東京モーターショーで2010年に発売だったので、10年前にノートe-POWERはちょっと無理じゃないか?と思われるかもしれないですが、日産の前身メーカーの1つであるプリンス自動車が、まだ「たま電気自動車」と名乗っていた頃(1947年)にピュアEVを発売しています。すでに当時から航続距離は90kmを越えていたそうで、リーフは航続距離が2倍程度まで伸びてますけど、2倍になるのに60年以上はちょっと長い気がします。
終戦直後の混乱期にあったメーカーですらEVを組み立てるわけですから、世界最高の技術を持つ日産ならば「エンジンによる発電機構(ジェネレーター)を持つEV」くらい簡単に作れたはずです。2000年くらいの段階で「レンジエクステンダー付きのEVコンパクトを日本で売れば絶対に売れる!!」と幹部クラスが確信していたならば、確実に10年前に完成してもおかしくないクルマだと思います。充電スポットがインフラとして整わなければピュアEV(リーフ)の普及は困難だ!なんて素人でも十分にわかる懸念だったですし・・・日産の幹部を務めるような優秀な人材ならリーフの見通しは多難であることは見抜いていたはずですけどね。なんか「キナ臭い」ですねー。
考えられることは、「日産がゼロエミッションへこだわった」あるいは「社外の圧力があった」のどちらかでしょうね。もちろん「社外」とはピュアEVの発達によって潤う電力会社です。日産の歴史を紐解くと「服従」の歴史が浮かびます。オイルショック以来、通産省によって貧乏くじを引かされ続け、外資になってからもルノーに利益をことごとく吸い取られ、挙げ句の果てに東◯電力による圧力によってか?不可解に開発が優先されたピュアEVが見事にずっこける・・・。名車も多数輩出してきて多くの栄光を勝ち取ってはいますが経営面ではハッキリ言って冴えないです。トヨタに国内首位を奪われてからは、存在感は年々霞んでいました・・・。しかし「2011年の政変」によって、うっとおしい東電が消えて、晴れてフリーとなった日産が5年の歳月をかけて、「セレナ・プロパイロット」と「ノートe-POWER」を開発していよいよ国内市場に新しい秩序を打ち立てるのかな?
日産と東電の接点は四季報などを見ても見えてはきませんが、2010年に結成されたEVの急速充電規格「CHAdeMO」を運営するCHAdeMO協議会の首謀者が日産と東電です。幹事企業にはこの2社と共にトヨタ、三菱、スバルが名前を列ねますが、この協議会(天下り先?)設立が同年に発売されたリーフとのセット企画であることは明らかで、日産と東電が示し合わせたプランがそもそも「ピュアEV」ありきだったと考えられます。さらに「陰謀論」めいた推測をすると、翌年に東日本大震災が起こって、東電の経営が頓挫したのは果たして偶然なのでしょうか?という浅はかな疑念も湧いてきます・・・。
2011年を境に東電という負荷から開放された日産のEV開発の方針も変わったようで、出遅れながらもこれからの30年に通用する「ジャパニーズ・コンパクトカー」の主役になれるようなモデルが出来上がりました。リーフで拗らせて、アクアやフィットHVに先行されましたが、リーフの機構をそのまま転用して作ったとのことで、決してムダな年月ではなかったですし、当然ながら「乗り心地」も「制御」もコンパクトHVとしては発売当初から高い水準にあります。さらに日産には優れた「基本スキル」があって、スバルと並んで世界最高レベルと評価された自動ブレーキを「全車標準装備」という中身の伴った立派な理念を掲げています。
「あとはクルマだけだな・・・」2013年に発売されたスカイラインは500万円という価格にも関わらずスマッシュヒットしてガチンコ勝負のレクサスISを潰し、よりお手軽な価格を提示していたスバルWRX・S4やマツダアテンザXDにも「レベルの違い」を見せつけました。しかしそれ以外のモデルがどうも「もやもや」しているのが日産でした・・・。コンパクトカー(ノート)も軽自動車(デイズ)もインパクトが弱い。ティアナやシルフィも売る気を感じないほどヴァリエーションも少ない。マーチやノートは改良もされずに放置。エクストレイルも「地力」と「コスパ」でCX5やハリアーに競り勝ちましたが、SUV未経験者に強く訴求するだけの衝撃は無かったなー。
さて2016年もいよいよ終わりますが、日産にとっては大きな転機となる年だったのでは?プリウスの衝撃に耐えながらも、三菱自(7211)を吸収し、カルソニックカンセイ(7248)を売却するなど「新陳代謝」もあり、「セレナ・プロパイロット」と「ノートw-POWER」は国内市場でもヒット確実という状況。さらに来年にはファン待望の「シルビア」も復活するという報道も出ました(メルセデスが初めて作ったスポーツカーシャシーを使うのか!!)。
日産の新型車が「V37スカイライン350GT」の時のように、発売と同時に「これは売れる!!」と素直に思えるような直感的な良いクルマであることが多くなってきました。元々高品質なのはわかっていましたけども、肝心のクルマが特にデザイン面でピンボケだと「あれれ」ってなっちゃていたこの数年の停滞がまるでウソのように「期待できるメーカー」に変貌しました(マツダみたい!というと語弊があるかも)。さらに期待するならば、先日のLAモーターショーで公開された「セントラNISMO」を、ホンダのシビック日本凱旋にぶつけるように日本にも売ってほしいですねー。
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