アテンザ、アクセラ、CX5で共通のシャシーとは違い、デミオのシャシーを使っているCX3は別枠かと思っていましたが、このクルマにもG-ベクタリングコントロールが装備されました。マツダ大嫌い!?を複数のメディアで宣言している斉藤慎輔というライターなどが、この機能を「ほぼ関知不能」だと切り捨てていましたが、日本のジャーナリストなんてBMWに乗ってその出足のギクシャク感にすら気がつかないクルマ音痴ばかりですからとりあえず無視しておきましょう。
前回のスズキ・イグニスの記事で、英国市場こそが都市型コンパクトカーが激突する最高の舞台だ!みたいなことを書きましたが、英国カーメディアの中でも各国に地域版を持つ「TOP GEAR」で夏に企画されたアワード2016において、「都市型コンパクトカー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのがマツダCX3です。英国人ライターが書くマツダ車のレビューは時として、東洋のミステリアスなスポーツカー・ブランドに対する畏敬の念みたいな感情が読み取れて面白かったりします。ちょうど日本人がロータスやケータハム、モーガンのレビューをしているかのようです。クルマは単なる都市型SUVなのに、「このクルマにはロードスターのDNAが詰まっている!」みたいな感じ。河口まなぶさんが動画で言ってそうなセリフですね・・・。
リアルでの周囲のマツダ評価を訊いてみると、やはり「高い!」という意見が増えてます。ディーゼル搭載とか世界最良といってもいいくらいのステップATが配備されているなど、マツダのクルマの価値を考えると、まだまだ良心的な価格設定だとは思うんですけども、「今買っておかないと後悔する!」というくらいのコストパフォーマンスまではいかないですね。ただしトヨタ辺りとガチンコで比べれば、まだまだマツダはいくらかお買い得と感じられる水準だと思いますけどね・・・。国沢光宏氏の最近のマツダレビューには必ずといっていいほど「高いよ〜!!」の好感度を意識した?偽善的な一言が加わりますが、それを見る度にこの御仁にはマツダへの愛情というものが全く無いな・・・と思いますね。
日本で作られていて付加価値の非常に高いクルマは、これから中長期的な視点で見れば、世界からもっと引っ張りだこになる可能性は高いと思います。日本製ということでフィアット124スパイダーが絶賛されているとか。実際にCX3のようなコンパクトカーであっても、このスタンスを守って開発してきた結果だと思いますが、マツダのシェアこそ微々たるもののイギリスのように熱く応えてくれる市場も出て来ました。もちろん人件費の高い日本で作り続けることはメリットもデメリットもあります。「オートメーション化が進めば問題ない」かといえばそう簡単な問題ではないようです。
例えば自動車部品として近年需要が増しているステップATやCVTの基幹部品である「トルクコンバーター」一つとっても、オートメーションで製造することなんてほぼ不可能なほどに精密な設計が要求されています。日本の職人の手作業の精度でないと流体を回すブレード(羽根)を、高級車の静音設計に耐える水準で作れないのだとか。こんな高級なステップATですが、あまりの機能性の高さに最近では欧州の大衆ブランドでもジワジワと採用が広がってきました。やっぱり日本メーカー同様にVWもPSAもルノーも必死みたいです!!ルーマニア、ロシア、インドなどの新興メーカーの「低価格戦略」にクルマの品質で対抗するためにも、多少コストを多く費やしてでも日本のFF横置きステップATを採用して「先進国のクルマ」としてのプライドを維持したいですから・・・なぜかルノーは日本向けだけゲトラグ製DCT、VWも内製のDCTを売り続けていますが、これは日本車との差別化を意図しているのかな。
いまや軽自動車のコスト配分ではエンジンよりもCVTの方が高価です。そのCVTよりもコストが高いのがステップATで、エンジントルクが高まればさらにコストが上がります。マツダはガソリンターボもディーゼルターボも42.8kg・mになっていてこれが現状では限界の設定されているようですが、これはおそらく採用しているステップATのトルク容量からエンジンスペックが逆算されています。もちろんFF車なので過激なトルク設定は危険という側面もあるでしょうけど。
世界の高級車が挙って使うステップATを2012年以降は全ての2ペダルモデルに採用しているマツダ。デミオもCX3も世界が羨む水準のステップATが使われています。トヨタのヴィッツやアクセラ級のオーリスがCVTを使っていることを考えれば、マツダの価格設定はまだまだ割安だと言っていいくらいです。国沢氏の安易なレビューに屈することなく、価格を維持したままさらなる付加価値を積み重ねていけばいいんじゃないかと思います。
しかしライバルも素晴らしい進化を遂げています。もの凄い意気込みを見せているのが、国沢氏が大絶賛するトヨタC-HR。歯に絹着せずに「デザインがダサい」と素人みたいな発言を平気でする国沢氏が今のところは、C-HRのデザインを中傷したりはしていないようです。ちょっとヤンチャ過ぎるスタイリングがプリウス以上に賛否両論だとは思うのですが・・・。日本市場ではトヨタの圧倒的な営業力で押し切るでしょうけども、勝負はイギリス市場を見て決めたらいいかなーと思います。
果たして来年の夏に「top gear」から最高の「都営型SUV」と賞賛されるのは? トヨタが圧倒的な物量と緻密なテストで念入りに作り上げたC-HRなのか? それともすでにアウディQ2とメルセデスGLAをイギリスで血祭りに挙げて士気上がるマツダCX3なのか? それともまた別のブランドが圧倒的なモデルを投入してくるのか? 例えば・・・「ビーエムの殻を破った?」BMW X2、「モードな内装」新型プジョー3008、「マカンに挑む!」アルファロメオ ステルヴィオ・・・結構地元びいきなところもあるのでやっぱりジャガーI-paceかな?(笑)
↓これとってもいい本ですよ!