ちょっと感情的な部分もあるので3割引きくらいでお読みください(笑)。「スーパーカー」「スポーツカー」「セダン」「GTカー」オーナーになるならどのタイプがいいですか? 「走り」の質で感動できるボデータイプはこの4つに大別できて、残りは商用車みたいなものじゃないか? クルマの価値を冷静に見据えるためには品評するクルマが、一体どのジャンルで一流になることを意図しているか?が大事だなーと思います。SUVはダメかって?まだまだ黎明期ですからなんとも言えないですけども、一定の車高を確保することを「目的化」した商用車といった括りじゃないですかね・・・。
当然ですがジャンルによって目指す方向は違います。それでもしばしばカーメディアの人々も取り違えたままにレビューを書いているのを見かけます。マツダ・ロードスターをBMW・Z4やメルセデス・SLCとマッチアップさせたりするのは、別に構わないですけども、レビューを書いている人間の意識が低過ぎると大抵はどちらかのメーカーの開発者が憤慨する結果になるでしょうね・・・。中にはトヨタ86のようなスポーツカーなのかGTカーなのかよく分らないクルマもあったりするので、ライターが一概に悪いわけではなく、メーカーのテキトーで煮え切らない仕事ぶりによって混乱を引き起こすケースもあるでしょうけど。86はクロスオーバーのノンジャンルだ!と沢村さんも仰ってたっけ。
「スーパーカー」の優劣はどうやって判断するの? 走行性能が他のジャンルを圧倒するクルマであるか?という基準はだいぶ危ういです。尖兵的なスポーツカーやGTカーの中にはスーパーカーを越える走行性能を誇示するものもあります(911やGT-R)。フェラーリオーナーに訊くと、「イタリア生まれの生粋のカーガイがその知恵を絞ってデザインした全てが商品価値」とか仰ってます。いわゆる「工数」じゃなくて「能数」とかいう水野(和敏)さんの受け売りなのかもしれませんが、クラフトマンシップ溢れる工芸品の結晶に、素直に感動出来る感性があればフェラーリオーナーの素質あり!ってことでしょうか。・・・「優劣」とかいう安っぽい価値観を超越した次元。目撃・体感したあらゆる人がただただ感動するクルマ。それが「スーパーカー」。ちょっとホンダをヨイショすると2代目NSXも(初代も)スーパーカーとしての品格はとりあえず十分過ぎるくらいですね。
その他の「スポーツカー」「セダン」「GTカー」に関してもホンダの取り組みは、かなり正統派だなと思います。世界のメーカーでこの4ジャンル全てで堂々と勝負しているメーカーはおそらくホンダとフィアットグループだけじゃ? ホンダはNSX=スーパーカー、S660=スポーツカー、レジェンド&アコード=セダン、シビックtypeR=GTカー。フィアットグループはフェラーリ488GTB=スーパーカー、マセラティグランツーリズモ=GTカー、クワトロポルテ&ギブリ=セダン、アルファ4C=スポーツカー!!!さすがはイタリアブランド!!
それに対してメルセデス、BMW、日産、スバルにはスーパーカーとスポーツカーが無いですし、マツダにはスーパーカーとGTカーが無い。惜しいのはフォードで、フォードGT=スーパーカー、フォーカスST/RS&マスタング=GTカー、フュージョン=セダンとあとスポーツカーだけが欠けています。まあ別に4つとも揃っているから何だ?って話であって、あくまでそれぞれのジャンルでどれだけのクオリティーと感動があるのかが大事ではありますけど。
フィアットグループはともかく、ホンダは実用的なクルマばっかり作っているイメージがありましたが、「4ジャンル」への取り組みを冷静に見て見ると、より多くのカーキチに「感動」を伝えようどこよりも一貫して真摯な姿勢を持っているように思います。ホンダが作った4ジャンルのクルマに関してはどれも非常に評価が高いし、実際に乗ってみると「感動」しかない!! FRの高級車を作り続けているから!という理由だけでトヨタ(レクサス)、日産、メルセデス、BMWの価値を無意識にホンダの上に置いてしまっているクルマ好きな人々の目を覚まさせるのに十分な「事実」だと思います。死ぬまで1つのブランドからしかクルマを買えないとしたらどこを選びますか?よっぽど財力に自信がある人以外ならホンダがいいと思いますよ。
最近じゃテスラとかいう新興勢力が、日本でもジワジワ来てますね。このメーカーで2008年からタクトを振るうイーロン=マスクは、全ての資本主義圏の若者が憧れる「スーパー」な存在で、自動車業界に転身してからテスラ・モータースの発展ぶりを見てもその貢献は「本田宗一郎の再来」といって良さそうです。もちろん生粋の技術者である本田宗一郎とはやや毛色が違うかもしれませんが・・・。イーロン=マスクにも藤沢武夫のような優秀なブレーンがいるでしょうし、いわゆる「カリスマ性のある自動車産業の経営者」という意味ではイメージがダブります。
ピュアEVセダンのテスラ・モデルS。日本ではとうとう1000万円を越えましたが、日本メーカーがいまだに400km以上の航続距離を誇るピュアEVを発売していないことを考えると、「希少性」という価値に見合った価格だと思います。もちろん米国ではもう少し安い価格で設定されています。まだまだバッテリーの供給などの生産上の都合であったり、インフラ(給電設備)の整備には時間がかかるなどのネガティブな面はありますが、恐るべきはイーロン=マスクが世界へ発信しているパーソナリティがメーカーに乗り移ったかのような進化のスピードで、EVのアドバンテージを生かした「非常識」な展開で難局を乗り切ろうとしています。
セダンでありながら911ターボやGT-Rを越える加速性能をもつグレードがリリースされる!!というニュースが先日流れましたが、そりゃピュアEVなんだから速いに決まってるって!!JR北海道の気動車と北海道新幹線が競争するみたいなもんだ・・・。最速のセダンなんてのはポルシェか日産が真っ先に作るものだと思ってましたけど、もはや断然にテスラが有利な状況です。旧来のメーカーでこれに対抗できるだけの技術&量産が現状で可能なのは・・・ホンダだけじゃん。
世界一のセダン市場は今も昔もアメリカです。テスラ・モデルSが出て来たときに、多くの日本人が「なんでハイテクEVなのにボデーは今さらセダンなの?」って思ったはずなんですけど、アメリカ人としてはアメリカのセダンがもっと売れるべきだ!!っていう願望があるんでしょうね。まだまだシェアは小さいですが、テスラのポテンシャルに納得させられるサポーターは日々世界で増えていて、以前は懐疑的だったカーメディアも手放しで褒めるようになってきました。現在アメリカでもっとも売れているセダンといえばホンダ・アコードですけども、アコードがテスラに屈する日が来る可能性は結構高いように思います(テスラが潰れない限り)。
「アコードがテスラに負ける」とか言われても、ホンダの価値が全く分っていない(かのような)日本では「あっそーですか」くらいのヌルーい生返事が還ってくるでしょうけど。あと10年ほどでノルウェー市場が、15年ほどでドイツ市場で内燃機関が全廃される見通しだそうですが、「テスラ増進法」が欧州で次々と可決しています。トヨタ、メルセデス、BMWは株価対策の為に慌て気味にEV開発&市販を宣言しましたが、ホンダが10年以上掛けて開発してきた、まるでEV時代の到来を見通したかのような技術であるSH-AWD(レジェンドとNSXで採用)。これと同等の技術をトヨタ、メルセデス、BMWが作れるのか?かなり不透明ですし、もし完成したとしてもその頃には大勢が決していてブランド本体はイーロン=マスクによって買収されている可能性もあるんじゃないでしょうか・・・。
ひたすらに「モーター」で走りまくるセダンをすでに持っているホンダとテスラだけに見えていた未来。この2社の貢献によって「セダン」は高級車の代名詞としてこれからも作られ続けるでしょう。あまり断定的なことは言えないですが、日本や欧州では「セダンの時代は終わった」と大衆が感じ始めた2000年代・・・その僅かな隙(セダンの進化が停まった!)を突いて進出したテスラも素晴らしいですが、既存勢力としてセダンの未来をかなり正確に予言し、それに沿った進化をさせたホンダこそが、名実ともにナンバー1のセダンメーカーと言っていいのではないでしょうか?