フランス3大メーカーの内で、半官半民の異質な体制で知られるのがルノーです。日本でもNTTやJPが「民間企業」ながらも盤石な経営体制を敷いているように、元・公団のメーカーってのは同業他社からすれば「反則」みたいな存在で、ルノーも80年代に北米戦略でホンダやトヨタの前に大失敗をしたにも関わらず、1999年に日産を、その翌年には韓国メーカーを買収してルノー・サムスンを発足させるなどの、全てをフランス政府に担保させる「ワイルドカード」を使って暴れ回ってきました。
日産にはカルロス=ゴーンが長く居座り、同じように横浜Fマリノスにはフランス人のモンバエルツとかいう監督が居座った結果、中村俊輔が出て行ってしまいました・・・。あまり偏見を持つものでもないですが、ドイツを締め上げた結果、第二次世界大戦を引き起こしたのも、ヴェトナムの惨劇のきっかけも、ルワンダで大虐殺を引き起こした民族団体を放置してのさばらせた軍政のケツ持ちをしてたのもフランスだったけ。フランス人には植民者(コンキスタドール)のDNAが強く組み込まれているんだろーか!?あんまり良いイメージが無いなー。
そんな「反則」気味のルノーが、ここ数年で画策しているのが、自動車業界での「巻き返し」のようです。負の遺産によって自滅したGMとフォードに変わって頂上決戦を繰り広げるVWとトヨタの両雄を、一気に追い越すような相変わらずな「カネ」の使い方をしています。斜陽な自動車業界において生き残るためには、ルノーの前に跪くか?、トヨタの元で大同団結に加わるか?、VWのグループはまだまだ「泥舟」の感じが払拭できず・・・といったところでしょうか。
ルノーグループは経営不振に陥る前のフォードグループのような多彩なブランドラインナップで、さながら自動車業界のLVMHといった様相を呈しています。「ウブロ(LVMH)なんてクソだせー」とか言い放つ気骨のありそうなオッサンが、ゼニス(LVMH)を着用していた時はちょっと笑ってしまいましたね。かくいう私もアードベッグをハウスボトルとしてストックしていますが・・・。
フランス、日本、韓国を軸にイギリス(アストンマーティン、マクラーレン)、ルーマニア(ダキア)とロシア(アフトワズ)へと広がるルノーは、とうとう現代における「欧州・韓国・中国における自動車産業の父」といっていい存在の三菱自動車まで傘下に収めました。プジョー=シトロエングループにとっては直噴ターボエンジンやSUVの設計あるいはミニバンのOEMなどにおいて長年のパートナーであった三菱が、仇敵ルノーの傘下になるというのは、なかなかショッキングな展開です。
世界制覇を目指す「ルノー・コングロマリット」の息のかかるモデルは、日本でも特に高級車やスポーツカー市場で影響力を強めていますねー。AMG、アストン、マクラーレン、NISMO、インフィニティに加えてアルピーヌの復活が宣言されました。これらの横のつながりによってFR縦置きミッションだけでも、メルセデス製、ジャトコ製の極上トルコンATと、愛知工業製のGT-R用の最速DCTが使えるというなんとも贅沢な環境が整っています。しかしFFの日本向けルノー車にはゲトラグ製DCT(ポルシェ、BMW・Mで実績あり)を使うというコスト感覚も備えていて・・・いやーケチ?いやいやしっかりしてますね(VW同様に日本以外ではアイシンAWを使ってます!!)。
ごくごく一般的に使われるクルマに関しても「ルノ=コン率」はどんどん高まっている気がします。国内のコンパクトカー販売のトップを行くのは日産ノート。さらに話題をさらっているのはノートe-POWERに加えて、RR設計とポップなデザインが話題のトゥインゴ。セダンに至ってはクラウンに続いて2位に付けているのがメルセデスCクラス。もちろんメルセデスは輸入車ブランドのトップを独走しています。ミニバンでも自動運転導入で先行するセレナと、独特の設計で人気のルノー・カングーが光ります。やっぱりスゲーな・・・。
単なる錯覚なんですかねー、ルノ=コンの快進撃の結果!?かどうかわかりませんが、軽自動車が拡大の一途を辿っていましたが、その流れも一段落したように思います。そしてこれまで営業力にあぐらをかいてきたトヨタが、血眼になってクルマのレベルを上げてきたように思います。これまでもクラウンやマークXなど上級モデルとなるFR車は「さすがトヨタ!!」という質の高さがありましたが、今ではFFモデルもやたらと「走り」を強調するようになりました。
さてルノーというフランス国内の化け物の進化を見て、シトロエンはどう思ったのか?現状ではトヨタを盟主とする「大同団結」の一員みたいです。トヨタ、スバル、マツダ、スズキ、BMW、MINI、ボルボ、テスラ、プジョー、シトロエンといった個性的なブランドが寄り集まって、トヨタとの提携で新たな戦略を模索しています(要はお金出して!!ってことですが・・・)。
盟主のトヨタがいよいよWRC参戦を始めました。残念ながらライバルのVWは撤退してしまい、注目はヒュンダイVSトヨタという日韓対決の構図になりました。欧州の代表のワークスチームとして参戦する格好になったシトロエンも、日本メディアへの露出が強まるであろう今年はチャンスだと思います。WRCのベースモデルとなっている新型シトロエンC3もいよいよ日本上陸を果たすようですが、これまたC4カクタスみたいなキャッチーなデザインになっていて、それなりの売れ行きは期待できると思われます。いっそのことスバルやMINIもWRC復活を果たし、ついでにマツダも参戦すればいいのに!!今季のWRC初戦で勝利したMスポーツチームの使用するフォード・フィエスタといえば元々はマツダが開発した先代のデミオの兄弟車ですし・・・。
でもやっぱりシトロエンは中型車を売らないとダメかなー・・・。プジョー3008もまもなく導入されるようですが、どうやらこのモデルの安易なシトロエンverというものは無いらしいです。C5の後継モデルも「DS」ブランドから登場するようですが、まだプロトモデルも登場していないので2017年での日本登場は無さそうです。C3だけで日本市場を切り裂けるんかなー。