2016年。世界は「ブレクジット」で「トランプ」。アングロサクソンは熱いね・・・いやいや日本のクルマ好き連中だって、「マツダ、スズキ頑張れ!!国沢はとりあえず黙ってろ!!」って意味不明に熱くなってましたよ。日本メーカー(マツダ、スズキ)による「ローカル」デザインが目立った2016年だったと思います。ただし某大手メーカーとその関連メーカーがMINIのデザインを拝借したり、何だか「国籍不明」なポリゴンデザインの新型モデルを発売したのには失笑ですけども・・・。
1年に1台がやっとのマツダの新型モデル。2016年はロードスターRFでした。もう狙っているとしか思えない・・・・日本的デザインのリバイバルです。マツダの年表に当てはめると佐藤栄作内閣の安定期(幸せな時代)に出てきた、「コスモスポーツ(1967)」と「ファミリアロータリークーペ(1968)」を彷彿とさせるモチーフです。コスモスポーツの運動神経が良さそうな贅肉のないボデーと、ファミリアロータリークーペのボデー剛性が高そうな「塊感」そしてコミカルさ。そんなところを余さず受け継いだボデーです。このRFのボデーでロータリー復活!!なんてプランもあったんじゃないの? 2台のロータリー黎明期のクルマを思わせるデザインにしよー!!とにかくロータリー誕生50周年を祝う意図はあったでしょうね・・・。
「はあ〜バカ言ってんじゃねーよ!!RFのモチーフは・・・RX7SA22C(初代)に決まってんだろ!!」とかツッコミが入りそうですね。でも初代RX7のリバイバルでもいいんですけど、ちょっと色々面倒なことが起こりそうですし・・・。詳しくはウィキペディアでも調べて見てください。ちょっとしたマツダの黒歴史が載ってます。
ロータリー50周年。コスモスポーツに始まってルーチェ、ファミリアロータリークーペ、風のカペラ、サバンナ、コスモについで7番目だから「RX7」。文句ナシに歴代マツダ車でもっともファンの多いクルマです。スカイラインGT-Rと並んでポルシェに喧嘩を売ったモデルですし、フェラーリやコルベットなど世界に名を轟かしたスーパースポーツにもデザイン面で大きな影響を与えました。
初代から3代目にかけての進化の「プロセス」に非常に価値があると思うんですけど、フォードから来た社長がこの流れをブった切った!?とかそもそもロータリーを辞めたマツダに甲斐性がないとか・・・このクルマに対してマツダは常に全力で開発するので、お金がかかって仕方がないんでしょうけど、それ全て「マツダRX7」。・・・余計なことを言うと、RX7の後継モデルの開発が暗礁に乗り上げているそうですが、マツダが全力で開発した時に、(すっかり高齢化した)ユーザー側は受け止められるのか!?って話です。
ドリキンこと土屋圭一さんの著書によると、サバンナ(RX5)時代のマツダのスポーツカーは、GTカー選手権では完全に「ヒール役」だったようで、スカイラインGT-RとサバンナによるGT選手権は毎回白熱して、ロータリーの圧倒的な性能で直線はサバンナが有利だけど、コーナーではGT-Rが速かった!!・・・あれれー「頭D」世代には全く持って「???」ですね。頭Dはドリキンが監修してある意味で実車のイメージを投影した世界感でもあるんですけども、ストレートの早いマツダとコーナーで早い日産が、20年経って真逆の立ち位置になっている。ストレートで早い方が「ヒール」なのは同じみたいですが。
3世代のRX7はやはり「ポルシェのパクリ!?」から「フェラーリを超えた!?」まで完全に「世界」を意識したクルマ作りだったと思います。マツダの市販モデルに関しても、フォード車とプラットフォームが共通化された頃から「世界」向けの設計の弊害は出てたわけですが、マツダのオリジナルシャシーを投入したスカイアクティブでは・・・これまでの反動で、「世界」向けのマツダの美点までが多く削がれてしまいました。しかもアメリカ&中国向けである基本方針は変わってないし・・・。
そんな中で、なんとも「日本」らしいデザインで登場したロードスターRF。まあ2Lエンジンにチューンが足りないとか色々突っ込みどころはあるでしょうけども、マツダには日本のクルマ好きがおおよそ抱えているストレスを、相当レベルまで共有してくれているんじゃないですか?・・・利益ばかりを追っている全ての日本メーカーに憤っている人々に「まだまだ面白いクルマ出てくるのかな!?」と期待を抱かせる妙味にはなったと思います。
冒頭に書いたブレクジットとトランプですけど、結構羨ましくないですか? グローバリズムが生んだものってくだらないよ。つまらねークルマと外国に住んでたこと語るつまらねー奴。日本の工業がアメリカを追い越して、中国に追い抜かれた・・・どーでもいい「事象」をテレビと同じテンションで大学で真面目に語る先生。アニメとかゲームとかいい歳したオッサンが文化論として真剣に語るようになった気持ち悪い世相。中学生と大人が同じ土俵で世界を語る時代?
あんまり余計なことは言いたくないですけど、それって自分が望む豊かな生活にとっては全くいらねーって気づかせてくれた2016年でしたね。とうとう東芝のタブレットよりファーウェイのスマホの方が圧倒的に気持ちよく動くようになったなー。そろそろバブル的な価値観を全部捨て去らないといかんなー・・・RX7の亡霊とかさ。RFやイグニスを見たときハッとしました。バブルを飛び越えてその向こう側と繋がっている!!これはなんか気持ちがいいなーって。