ご近所(東京都西部)では、人気の「アッパー・コンパクト」という地位を掴みつつありますね。「コンパクトHV」という奇抜なアイディアが、新時代の「アッパー・コンパクト」として、あらゆる階層のユーザーからの乗り換えを集めたのがアクアでしたが、CX3も規模はぜんぜん小さいながらも「二番煎じ」くらいにはなっているような気がします。アクアとCX3に共通しているのは、登場年代がやや前後してはいるものの、「HV専用」と「ディーゼル専用」という思い切ったユニット選択をしたこと、そして「スタイリング」でインパクトを与えたこと。
発売から早くも5年が経過するアクアは、トヨタ純正や社外チューナーによるコンプリートモデルが次々と出てきて、予想外の進化を遂げています。ハッキリ言って日本で最も『個性』を競うクルマになったなー。言い換えれば、アクアをカスタムして乗りこなすオシャレな人々は、誰よりも「逃げ場」のないところで「独自のセンス」を披露しています。有名ブランドのエンブレムで自分のセンスの無さをごまかしている人とは真逆の考え方なんですね。これって結構かっこいい生き方なんじゃないの!?
トヨタ社長の肝いりでスタートしたというスポーツカー86とそのアフターマーケットも、見事に軌道に乗っているようですが、それを上回る盛り上がりを見せているアクア市場。マーケティングの鬼であるトヨタにとっても予想外の展開だったようで、アクアのコンプリートモデルを用意したのは、だいぶ後になってからでした。しかし発売直後で、市場がまだまだ評価を迷っている段階で白々しくコンプリートモデルを出していたら、もしかしたらこれほどの成功にはならなかったかもしれませんが・・・。
マツダのCX3の戦略には、『アクアの成功』がどの程度まで意識されていたのか? 側から見る限りだと、日産ジュークを念頭に置いたグローバルに活路を求めるモデル・・・それ以上の何か?。イギリス市場ではジュークとCX3がどちらも大人気。日本ではあまり足跡を残せていないエキセントリックなフォルムのジュークに対して、マツダ随一との評判も高い綺麗なスタイリングで日本市場でも存在感を出しています。日本市場ではライバル車と比べてコスト高めのディーゼルのみの設定にしているので、乗り出し価格は輸入ブランド(VWやプジョー)とほぼ同じ価格になっています。
一部ではガソリンモデルを日本でも出せ!!という声もあるようですが、現状では小型車向けのガソリンターボを持っていないマツダは、海外向けガソリンモデルは2Lと2.5Lを搭載しています。日本なら1.5Lでも?しかしそれではいかにも「凡庸」なイメージで伸び悩むアクセラの二の舞になりそうです。コスパの良いコンパクトカーなんて各メーカーから出てますし、中古車も大量に流通している中で、1.5L直4自然吸気のユニットで200万円の価格をつけるのは至難の技です。アクア、ノートe-POWERが、フィットを圧倒しているトレンドを見ても、コンパクトカーを新車で「ブランディング」して(価格競争なしで)売るための要素は明らかだと思います。
ちょっと極端かもしれないですが、考えようによっては、デミオやCX3にロータリーエンジンを積んで売るという選択肢が、5年前よりも確実に有力になってきたと言えます。マツダもロータリーを使ったEVユニットを開発中だと明言しています。低速域ではEVモード。中高速域ではロータリー駆動として、速度域で分断してスムーズに切り替えが行えるユニットを250万円程度の価格帯で発売にこぎつければ、日本だけで年産10~20万台、グローバルではマツダの屋台骨となれる40万台くらいに成長できるポテンシャルはあると思うのですが・・・。常用域はリーフで、中高速ではRX7の走りになる!!なんてすごくないですか!?
本当に蛇足で恐縮なんですが、マツダはCX3でもっともっと冒険すべきじゃないですか? 1000万円する限定モデルでも作って見たらどうですか? 0-100km/hを3秒くらいで走ってしまうモンスター仕様。2.5Lターボのハイチューンで450ps。イメージとしてはケン=ブロックが操るパフォーマンス用マシン。あるいはWRCにそのまま参戦できるような、ラリーベースマシン。さらに我々の予想を上回る展開としては、ロードスターを納入しているアバルトに、CX3もOEMしてしまう。アバルト・チャンネルとマツダスピード・チャンネルで、イタリア、日本、中国、北米で売りまくる!!フィアット=クライスラー・グループの「怪しい素性」のターボエンジンを搭載する!!これはジープ?三菱?旧メルセデス?フェラーリ? もうなんでも良いですけど・・・やっぱりロータリーが一番インパクトあるかも。
安くて良い機械時計を作っていたオリエントが、スマホ時代?でいよいよ行き詰まってしまいました。もうリストウォッチはモバイルに変わっていって5万円〜くらいの物体を腕に付ける時代がやってくるでしょうけども、パネライやらIWCやらは、なんだかんだで生き残るんじゃないかという気がします。商品自体がユーザーの興味を「異常なレベルに高められるかどうか」が、実用性を超えた商品価値の創造につながります。クルマの「実用性的」な価値は限りなくゼロに近づき、「記号的」な価値だけで価格が決まっていく・・・なんか残念な考え方ですけども、人間の欲望は突き詰めると「残念」な結果になるのが宿命です。いい車を欲しがるユーザー(クルマ好き)のことを、メーカーでは「ハイライフ・シーカー」と呼ぶそうです。なんかちょっと恥ずかしいですよね。
VWやフィアット、GM、ルノー日産といった大手メーカーは、「3K(3000ユーロ)」を自動車産業のミニマムなコストと設定して、生産タームがとっくに一巡している時代です(VW/フィアット/ルノーは3K車を日本では180万円〜で販売してますが・・・)。日本よりも圧倒的にGNIが高いフランスでもドイツでも6000ユーロ程度で販売しているのに、日本の普通車に関してはその2倍程度の最低価格設定がされています。しかしあと5年以内にこの状況に手が入るのではないか?と思います(車の価格が下がる!?)。金融庁は銀行窓口における不節制な金融商品販売が国民生活と経済成長を大きく阻んでいるとして、去年から強行手段で銀行を締め付けています。携帯電話・スマホの契約にもメスが入りました。
次はクルマ!?それとも住宅!?かわかりませんが、その時に堂々と250万円の価格設定でも飛ぶように売れるクルマ!!この最前線に立てるかどうかが、(3Kに参戦できない)マツダにとっての生命線だと思うわけです。マツダはすでに『VW』『PSA』ではなくて『ロータス』あるいは『BMW』的な経営視点が必要なんじゃないの!? イギリス市場でアウディやBMWと互角の価格設定で健闘している(3Kが入っている市場ですでに結果を出している)ロードスターとCX3が『鍵』になるんじゃないですか!?
↓15000kmで240万円。中古市場での人気は明らか!!マツダのさらなるアイディアに期待!!