現行モデルで発売されている間は、忘れ去られた存在だったりするのに、販売が終了してから、中古車市場でグングンと人気になるモデルってのがあります。例えばアコード・ユーロR、カローラランクスZエアロ、マツダスピードアテンザ、マツダスピードアクセラ、S2000、MR-Sなどなど。これ全部が新車で300万円以下で買えたってのが凄い。2000~2005年頃ですかね。
当時は今よりも給与水準は高く、「一家の手取り収入」➗「家族人数の平方根」で求められる数値が、現在では257万円が日本の中央値らしいのですが、1997年の測定値は今よりも40万円高かったそうです。4人家族だと中央値では平均手取り収入が約600万円。年収で直すと800万円以上ですから、そりゃクルマも今よりたくさん売れるはずだし、日本メーカーもやる気になって国内向けにいいクルマ作るわけです。それに引き換え現在の状況は・・・日本の一人当たりのGNIは2014年値で42,000ドル。同じ年でクウェート49,300ドル、シンガポール55,150ドル、マカオ76,270ドル、カタール92,200ドルですから、もう日本で頑張る時代じゃないのかも・・・。
しかし!!まだまだ伝説になりうる300万円くらいまでで買える「素晴らしい」現行モデルは結構あります。そんな注目すべきモデルを5台紹介しましょう。(本記事は将来の中古車価格を保証するものではございません悪しからず!!)
第5位 トヨタ・オーリス1.8RS(246万円)
トヨタ・オーリス RS 試乗インプレッション 後編 https://t.co/Bi6hUWQISe @YouTubeさんから
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年1月30日
オーリスは今年消える!?
いよいよ車名の消滅までカウントダウンに入ったらしいオーリス。次期モデルはTNGAを使った新型カローラと合体して、「アクシオ」「フィールダー」「スポーツ」の3タイプの中の、「スポーツ」として組み込まれるらしいです。MTを採用しないする方針だというTNGAシャシー。日本以外の地域では生産されるかもしれないですが、オーリス、カローラアクシオ、カローラフィールダーに残されているMTモデルは年内で消える可能性が高いです。
カローラ再編
この3台ではオーリスだけが3ナンバーサイズで、グローバルCセグ用プラットフォーム(ハリアーと同じ)を使っていて、なおかつ144ps/6200rpmという、今では立派な高回転型に分類される、トヨタが2000年ごろに開発したハイスペックな1.8LユニットとMTを組み合わせています。
欧州向けトヨタの本気
そもそもこのオーリスは、トヨタが本気で欧州市場に乗り出した90年代後半に投入したCセグハッチバックとしては3世代目にあたります。ほぼ同時に発売されたDセグのアベンシスもドイツで大絶賛され、Dセグ4ドアセダンの日本車としては3台目となる欧州COTYのファイナリストに残りました。ちなみに現在に至っても歴代Dセグ日本車の快挙はP10プリメーラ、GGアテンザ、210アベンシスの3台のみです。
ベンチマークさせると世界一のトヨタ
アベンシスと同じくドイツで「カローラ」という名前で発売されたカローラランクス/アレックスは、ドイツ仕様と国内仕様でリアサスを使い分けるなど、少々セコイところが見られましたが、ロータスに供給する190psのヤマハチューンの1ZZ-FE搭載モデル(ランクスZエアロ)は、AE111と86の間を埋めるトヨタの『伝説』になりました。
先代も先先代も「珍車」輩出
2世代目からは「オーリス」「ブレイド」の2モデルに分かれ、その中にドイツ仕様のリアにダブルウィッシュボーンを仕込んだモデルにゴルフR32に対抗意識メラメラの3.5Lの横置きV6を搭載した280psの『ブレイドマスター』というモデルがありました。日本市場がミニバンブームとレクサス導入に話題が奪われる中で細々と発売され、トヨタ「伝説」の珍車として知られています。
欧州トヨタの最期!?
3世代目の現行はブレイドが廃止され、オーリスだけが残りましたが、初代&2代目があまりに華々しい中で、あまりにも話題性が乏しく当然のようにマイナー車種になりました。同時期のトヨタは86が大ブレーク中だったので、オーリスで頑張る必要はないってことだったのでしょうけども、気がつけば売れているトヨタの横置きエンジン車はドライブフィールが悪いまま放置されたCVT車か、不自然なブレーキングが気になって仕方がないTHS車ばかりに・・・。
第4位 マツダ・アクセラスポーツ22XD・Lパケ(308万円)
新型アクセラ ディーゼル kunisawa.asia https://t.co/EC9vCWR423 @YouTubeさんから
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年1月30日
狂気じみたユニット
ちょっと古い映像ですけども、ドライバーはベストカーのカリスマ・ライターさんです。マツダの2.2Lディーゼル車はとにかく野生的な仕上がりなんですよね。エンジンのトルクとパワーがシャシーの限界を超えちゃってんじゃないの!?ってくらいにハートビートな味付けがされています。従来のマツダガソリンモデルとの違いは、エンジンの躍動感でしょうか。ステアリングにまでガンガン響く微振動がいい感じ。ガソリンモデルだと、気がついたら80km/h出てましたって感じだけど、このディーゼルは80km/hに至るまでにトルクでドライバーをビビらせる設計。なんともドイツ車っぽいな。
マツダ純正のフルチューン!!
CX5やアテンザの車格を意識した2.2Lディーゼルユニットを、アクセラに載せてMTまで用意したのがアクセラスポーツ22XD・Lパケ。アテンザワゴンくらいがベストと思っていたユニットですが、アクセラの操縦しやすいサイズは素晴らしいですね。足回りも専用にチューンしてあるのでアテンザXDよりも、あらゆる路面に対して「アラ」が少ないように感じます。未体験ですけども雪道でも案外いけるんじゃないでしょうか。
カーメディアではタブー扱いに!?
なんといってもこのユニットは、ディーゼルの絶対王者(少なくとも4気筒では)でして、5000rpm超えてもまだ加速しやがるオバケなユニットです。このマツダユニットのあまりのすごさに、有名ライターの一人である清水和夫っていう方は、「BMW320dのディーゼルはマツダよりもっと上で5400rpmまで回ります」という伝説的な大チョンボ発言をしてしまったくらい。幻が見えちゃったんでしょうね(免許返納しましょう)。
この企画の趣旨によく合ったクルマだ。
300万円で欧州の一流ブランドのエンジンを軽く上回るユニットが載るクルマ。ひと昔前に、VテックでBMW、アルファロメオ、アウディをシリンダースピードで完全に凌駕したホンダの「typeR」モデルみたいな価値があります。発売当初はアクセラが300万円かよ!!って思いましたけど、冷静に考えてみれば破格価格設定です。日本製造でとことん隅々まで手が入って、しかも衝突安全基準で世界のトップを取るような「良いクルマ」が欲しいなら300万円以上するのは仕方がないのかも。200万円でいいクルマなんてのは絶対に「ウラ」がある。アフリカやメキシコで作っていたり、衝突安全がメチャメチャだったり、エンジンが安普請だったり、ミッションが低コストだったり。
あまり売れてなくても販売をやめないマツダの信念
今のマツダでオススメできるクルマって案外少ないです。「ロードスター」「ロードスターRF」「CX8」とこの「アクセラスポーツ22XD・Lパケ・6MT」くらいでしょうか。CX5やアテンザも、レクサス、BMWなんかの同クラスモデルと比較するなら断然にいいクルマですけども、まだまだマツダの本気度は低めかな!?という気がするんですよ。そのマツダの開発者が「これは本気です!!」と言っているのが、このアクセラ22XDなんです。
ちょっと長くなってしまったので続きはまた気が向いたら書きます。もちろんもう既にモデルの選定は済んでいますけども、今年フルモデルチェンジが予告されているものもあるので、廃止が発表される前に書かねば・・・。