もうフランス車があればいい・・・
一般にフランス人はクルマにあまり興味がなく、国内市場でのメルセデス、BMW、アウディなどのいわゆるプレミアムブランドの販売台数も低調。日本ではVWよりメルセデスの方が売れてますけど、フランスではルノーやプジョーと並んで廉価なVWがよく売れています。手軽な価格で使い勝手がよくデザインもそこそこ優れた「コスパ」に優れたクルマばかりが売れる市場には、従来のフランス車、ドイツ車、イギリス車、イタリア車だけでなく、日本車、韓国車、スペイン車、スウェーデン車、チェコ車、ルーマニア車と10カ国以上かつメーカーの数は軽く20くらいが参戦しています。
日本では「ブランド」が通用するけど、フランスにはあまり通じない。いいクルマが出てくれば、シェアが大きく動く。しかもGDP世界6位という魅力ある市場。今後もさらに中国車、台湾車、インド車、マレーシア車、トルコ車が大挙してやって来るのも時間の問題かも。ボルボ、ロータス、プロトンなどを傘下に収めるGEELY(吉利)は、メルセデスの筆頭株主になったこともあり、欧州進出は時間の問題だと思われますが、入りやすいのはやっぱりフランス市場では!?高性能で高価になってしまう日本車が日産以外はあまり売れてないのも、新興メーカーにはチャンスがありそう。
その一方で、自動車先進国なのに高価格帯のモデルが極端に少ないフランスメーカーにとっては、相当に高度な生存戦略が必要であり、ルノーはいよいよ日産と合併する方向で調整中で、PSAは先日オペルを取り込み、イギリス最大の販売チャンネル・ボクスホール(オペル車最大のブランド)とのコネクションはどーなるかわからないけど、ドイツで最も優れた小型車技術をもつオペルを傘下に収めたことでPSA車の水準は間違いなく上がるはず。日本市場にどんな影響があるかわからないけど、もしかしたらルノーブランド車を日産九州の余剰ラインで生産するかもしれないし、ボクスホール向けに右ハンドル車が強化されたPSAはより日本で使いやすいモデルへと長足の変化を遂げるかも。リーマンショックからの復興に成功したフランスブランドの「突然変異」は始まっていて、加速する進化をまとめてみました。
レベル1・ルノー・ルーテシア(3代目・2012〜)
「ドイツのベストセラーを撃墜」
5代目以降、欧州王者に君臨し続けているVWゴルフを、欧州マーケットで急追している3代目ルーテシア。そしてフランス市場の覇権はすでに取り戻し、ドイツ車の支配からフランス市場を解放した「ラ・マルセイエーズ」的な意味で歴史的なモデルとなりました。日本では「ノートの兄弟車でしょ」という不本意な評価に落ち着いてしまうけども、その兄弟車ノートも久々に月間ベストセラーになった日産車として「名車」の仲間入りをした。クオリティの高さで欧州市場で尊敬を集める日産の設計を使ったルノー車の快進撃という見方もあるけど、ルーテシアが持つエクステリアも人気で、マツダの前任のデザイン本部長を引き抜いて改革を施したルノーの努力が実った。
日産が欧州と北米の両面睨みで開発した『MR16DDT』と呼ばれる1.6Lターボユニットを、ルノースポールがチューンナップした『M5Mt』を搭載したルーテシアRSもコスパ、スペックともに申し分ない出来だと思う。日産の力をうまく使ったとはいえ、日本市場も十分に視界に入れていて、とてもよーく考えられたモデルになってる。ちょっと失礼な言い分だけど、フランス車が日本市場で「明快」な存在意義を久々に(初めて?)獲得した瞬間かもしれない。新型ポロGTIなんて敵じゃない・・・。
レベル2・プジョー3008(2代目・2016〜)
「日本のSUVを軽く超えていく」
ピープルムーバーが大好きで、スライドドア車も人気のフランス。いわゆるファミリー向け車両としてプジョーが実用性と、ハイセンスなライフスタイルをイメージして作り込んだ結果、トヨタやホンダよりも満足度が高いインテリアを楽しめるジャストサイズのSUVが完成した。乗り心地はともかく、インテリアの質感なら日本車に負けない。シートも非常にいい(ドイツ車のシートはカス!!)。かつてのスープラを思い出す、非常に素晴らしい世界観を持ったインパネ。もうこれだけでも非常に印象に残る一台だと思う。想像以上のポテンシャルを発揮してきた・・・。
レベル3・ルノー・メガーヌGT(4代目・2016〜)
「Cセグをハイテク化させるオンリーワンへ」
日産におんぶに抱っこされているようにしか見えないルノー。はっきり言ってこのメーカーやる気ないだろ・・・しかしまあこれがフランスメーカーの本来の姿だと思う。ちょっと前まではルノー車なんか見に行ったらラゲッジルームを見て絶句。日本車では考えられないようなテキトーな造りに購買意欲が一気に減衰。シートもテキトーだったよな。これで300万円かい?日本市場をナメるなよ!!スズキの方がいいシート付いてくるって(先代メガーヌの話)。インテリアを無視できるような強調ポイントもないし・・・まあ彼らが本気だったら今頃日本でもフランス車がバカ売れしてるはず。
新型メガーヌの『GT』はかなりの意欲作だ。シートもいいし、走りもエゴを感じる。とりあえずゴルフとかオーリスとか、あるいはアクセラやインプレッサといった意外に数少ない日本市場の「ピュアCセグ」をまとめて上回ってきたな〜・・・。日産アルメーラ(欧州で売っているCセグ)が日本でも売っているならばそれほど衝撃はなかったかもしれないけど、VWと並んで「公社」気質が抜けないというクソメーカー・ルノーだけど、他社から有能な開発者やデザイナーを多数招聘してコンセプトがガラリと変わった。なんの伝統もないのにいきなり4WSが登場。V35スカイラインの機構のお下がりだろうけど・・・Cセグにここまでやるか!?選ばれるルノーが生まれつつある。
レベル4・シトロエンDS7クロスバック(初代・2017〜)
「レクサスとドイツ御三家に宣戦布告」
いよいよフランス車からもこんなにスペック重視のモデルが出てくるとは・・・。ボルボ、マツダ、アルファロメオが世界各地で高評価を得る原動力になっている『横置きFF&リアマルチリンク』を模倣してきた。メルセデスだろうがBMWだろうが撃破できるハイスペックFF車の仲間入りすることで、机上の推論では、トヨタ並みに快適で、アウディのようにフラットな乗り味を実現する。これまでのPSAの殻を破る設計変更が施された。サイズ&設計から見るにベンチマークはレクサスNX、BMW1シリーズ辺りだろう。とりあえずデザインは圧勝。
レベル5・アルピーヌA110(2代目?・2018〜)
「日本のライトウエイトスポーツはあまりにも妥協!?」
日本のお家芸・ライトウエイトスポーツの頂点を一気に狙ってきた。ポルシェもメルセデスもBMWも手が出せなかった非常に難しいジャンルであり、英国のコーチビルダーによるサーキット用マシンくらいしか日本車のレベルには及ばないと思われたが、ちょっと前にアルファロメオ4Cが出てきてあまりの「ガチ」っぷりに世界はドン引き。ホンダS2000級の衝撃がイギリスでもイタリアでもなく、フランスからやってくるとは・・・。プロライター連中による試乗レビューを読むとインパクトは相当すごいらしい。ルノー日産の1.8Lターボ260psでピュアなボデーが舞うらしい・・・。
生まれ変わったアルピーヌ A110のエンジンサウンドが超刺激的! https://t.co/sRnbpoBdc5 @YouTubeさんから
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年4月4日