メルセデスCクラス・カブリオレ
ギョッとする斬新なスタイリング
日本市場ではクラウンに次いで売れているセダンになったCクラスの『カブリオレ』。 ポピュラーなセダンとはまが真逆で、ただならぬ怪しげな雰囲気を醸しているモデル。何がそう感じさせるのか、理由はいろいろあるけども、なぜこのオーナーさんはこのクルマを選んだのだろうか!?という好奇心と同時に、一方的な憶測(多分ナ○シスト)が見るものを懐疑的にさせる。スポーツカーでも乗用車でもない『カブリオレ』というジャンルに心から心酔しているピュアなユーザーならばいいですけども、なんとなく『ハズしのメルセデス』という身の毛のよだつようなバブル世代特有の価値観で選ばれている気がしてならない・・・。
メルセデスの秘めたコンセプト
ちなみに新古車の価格がC43AMGで700万円前後、C180で500万円程度。SLC180なら置き場に困らないリトラクラブルハードトップがついていて400万円程度だし、今ならCクラスセダン、CLA、GLAなど300万円前後で選び放題。A180、B180なら228万円が相場。トヨタやホンダ感覚で所有できるようになったメルセデスも悪くないですけども、日本車とドイツ車の境目が曖昧になることを喜ばない人もいて、ドイツ車らしさを求めた結果が『Cクラスカブリオレ』ってのは・・・原理主義的ではあるけどアリだと思う。
スリーポインテッドスター
そもそもメルセデスの理想ってなんだ!?それは「空・陸・海」の王者になること。自動車、船、飛行機で共通するスタイリングは、信頼感のある大きなボデー(フルサイズサルーン、巡洋艦、ジャンボジェット)、あるいは風を感じるオープンスタイル(カブリオレ、クルーザー、紅の豚)であるように、全ての乗り物は「大きい」か「オープン」であるべきであり、王者メルセデスがカプセルホテル見たいなキャビンのクルマを作っている場合ではないのかもしれない。最新のメルセデスでは主力モデルにおいて、存在感があるセダン/クーペボデーと、ソフトトップを使ったオープンが用意されているが、これは100年以上前に打ち立てられたメルセデスの理念に近いのかもしれない。
ソフトトップのこだわり
メルセデスは、もともとリトラクルハードトップを備えているSLやSLC以外の、すべての乗用車モデルに関して、イメージ戦略としてソフトトップモデルを拡大するようだ。Sクラス、Eクラス、Cクラス、GTの基幹4車種はすでに配備が完了し、フルモデルチェンジを控えるCLSにも同様に設定されそうだ。コスパ重視のAクラス、Bクラス、CLAクラス、GLAクラス、あるいはGLC、GLE、GLSといったSUVにも設定されるかどうかは微妙だ。これらのFFモデルやSUVモデルは厳密にはメルセデス本流の設計ではないので除外されるかもしれない。
メルセデスの「景色」を作る
メルセデスが心から好きならば、「大きい」モデルもしくは「オープン」モデルもしくはその両方のオーナーになるために辛い人生を頑張れるかもしれない。世界中のメルセデスファンの期待に応えるために、最新のメルセデスは、「最高のサスペンション」「最高のトルコンATミッション」、そして最高の「直6ターボ&48Vハイブリッド」のエンジンを用意している。2000年頃からしばしば最悪のメルセデスと言われてきたけども、いよいよ汚名を返上して、気合を入れるために「コンセプト」をストイックに追い込んできた。
メルセデスファミリー
ソフトトップのCクラスなんて、日本市場で見かけると「ギョッと」するだけかもしれないけど、最近のトヨタやマツダが「良さげ」なラインナップを揃えているのに対して、メルセデスはまるで違うレベルの「コンセプト」を遂行しているようだ。最高で最良そしてブランドが背負う歴史を表現する。・・・とは言っても、すでにメルセデスの販売の大きな割合を占めるようになってきたFF車やSUV車の立場はどーなるのだろうか!? 否定的になる必要はない。それらのモデルを含めて大きなメルセデスファミリーを形成している。ドイツ本国で開発される『本体』(セダンは中国)に加えて、第二次大戦で戦ったアメリカではアラバマ製のSUVが、そして友軍だった日本の三菱が設計したFFモデルが、お互いにバランスよく補完しあってグローバル戦略を完遂しているように見える。いちいち美しいな・・・。
50年代を取り戻す!?
1950年頃に西ドイツは奇跡的な経済成長を遂げ、60年代後半までは日本よりもGNPは上だった。その西ドイツの象徴がメルセデスであり、ピラーレスの後付けルーフが一般的だった50年代のダットサン・スポーツ、ファレディ1500、プリンススカイラインコンバーチブルなどの代表的な日本車(日産&プリンス車)でも見られるように、メルセデス350SLのスタイルは世界に影響を与えた。そしてメルセデスは、ブランドのコンセプトとして、350SLの時代に先祖返りしようとしている。2016年のオートモービルカウンシルの展示でその意思を表明していた(今年の不参加は寂しい)。
ヒストリカル・デザインの時代
クラウンやカローラが自らの形を掴みつつある。次期アクセラはアルファロメオ・ブレラの再現のように見えるけども、これこそがマツダが世界に復活させたい形だったのだと思う。これからの自動車メーカーは、デザインや設計を通して強烈に自らの存在価値をアピールしなければいけないのだと思う。メルセデスが、BMWやアウディに先んじて提案している『ソフトトップのメルセデス』には、トヨタやマツダと同じような「明確」な意思表示だと思う。だから下手な先入観で「Cクラス・カブリオレ」を批判してはいけない・・・。
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