MINI CLUBMAN
日本のヤンキー車はどこへ行った!?
街中で善良な小市民誰もが眉を顰める『出で立ち』・・・もはや偽悪的としか形容できないし、メーカーもその意図を隠さない。2000年代前半は、にわかにヤンキー文化が日本を覆った。トヨタbB、ダイハツタントカスタム、スズキスペーシアカスタム、スズキソリオなど、フロントデザインの「押し出し」にこだわったクルマがやたらと流行った。長引く不況で人々はお尻に穴が空いたシーパンを買い換えることもできない。そんなファッション・トレンドの中で必要最小限のスペックと周りに人が近づかない攻撃的なデザインのクルマが売れたようだ・・・。
日本市場を狙ったのか!?
そんな状況は2010年頃までは続いただろうか。MINIという英国ブランドが2008年に日本のトレンドに乗っかったBセグワゴン『MINIクラブマン』を発売。何を勘違いしたのだろうか・・・。日本のヤン車は機能性&合理性を突き詰めたパッケージの上に高度な幾何学デザインの視覚効果によって『押し出し感』を演出していたが、このクラブマンと2代目トヨタbBはどうやら完全に踏み外した。インテリ開発者がDQNなユーザーを見下したような『ナメた』デザインにユーザーはさすがに白けたようで・・・潮が引くようにブームは去っていった。
八王子界隈で・・・
ライバルをことごとく退場させて、市場を独占しよう!!という深謀遠慮があったのだろうか・・・。2代目にフルモデルチェンジした『クラブマン』は、さらに個性的なデザインを採用。あまりの無国籍感溢れるデザインに言葉を失う。このクルマをデザインしたのは一体どこの国の人なんだ!?ここまで日本の街並みに馴染まないデザインも珍しい。あえて挙げるならば、シボレーやキャデラック、あるいは欧州フォードのちょっと間の抜けたデザインに近い雰囲気を感じる。そのテイストは戦略なのかもしれないが、東京近郊でも特に八王子や町田辺りで見かけることが多いが、どうやらアメ車の代用品としてウケているようだ。かつては暴走族文化が盛んだった地域だ・・・。
MINIに欠かせないピース
何はともあれ日本車のヤンキー文化を食い物にしたデザインブームを一気に衰退させた功績は大きい。あのまま「押し出し」が強いクルマばかりになってしまったら、「マイルドヤンキー文化」に完全に否定的だったMAZDA、SUBARU、三菱などは日本市場からすでに撤退していたかもしれない。・・・で意図せずに救世主となったMINIクラブマンですが、とうとう日本市場で月間2000台以上を販売するようになり、誰の目にも絶好調のMINIの中で大切な役割を果たしている気がします。英国一色で統一されるブランドの中から発せられる絶妙な不協和音。日本市場に限らず、英国文化を押し売りする先の市場において常にブランド戦略の鍵なのかもしれない。
MINIのブランディングは不完全だ・・・
例えばMINIディーラーに行くと、いろいろな販促グッズとかもらえて楽しいですけども、所狭しと並んでいるMINIモデルって実車を見ると案外丸っこくて小さくて、どれも単調に見えてしまう。あまりテンションが上がらない。ディーラーの佇まいからして個性的で、気分は高まるはずなんだけども、どうもクルマがついてこないって人もいるんじゃないの。実際の購入者のほとんどが、クロスオーバーか5ドアを買うでしょうけども、完全に異質な存在のクラブマンが居るからこそ、このブランドは面白いなーって思えるんじゃないかと・・・。これからも創造性豊かに進化していって5年後とか7年後の車検の頃にはまた新しいモデルが出てるんじゃないか!?って気にはさせてくれる。
英国ファッションは常にアグレッシブだ
MINIというブランドは、ユーザーに対して強烈に英国に感化させることを付加価値としている。つまり本質的にはタントカスタムのマーケティングと同じだ。それでも影響されやすい人は、気がつけばリーガルを脱いでクロケット&ジョーンズを履き、全身チェックが溢れたニット&パンツスタイルにカンゴールを被り始めるだろう。そしてその次のタイミングになってふと気がつく。自分が目指していたスタイルに合ったクルマは、MINIではなくてシトロエンかDSだったかも・・・って。もっとタイトな路線を好んで「S.E.H KELLY」のフルコーデなどを身につけはじめた人にとっても、3ドアのMINIでは少々大人し過ぎると感じるし、シトロエンやDSでもない!!もっとアグレッシブなクルマが欲しくなるかもしれない。その人に残された現実的な選択肢は・・・BMWかクラブマンくらいか!?
生き方・・・なんだろうね
本当にMINIの世界観が刺さっているユーザーにとって、じっくりと英国モダンスタイルを深化させ追求できるクルマは、もしかしたらクラブマンなのかもしれない。レンジローバーのような武骨さと、BMWのようなレーシーさを兼ね備えていて、男性的で実用的なスタイルだ。このクルマに釣り道具を積んで休日の趣味を謳歌するのは、もしかしたら死ぬほど退屈な日本において、もっとも偉大なる文化理解者として豊かな人生が送れるかもしれない。こういう人をいわゆるセンスがあるヤツっていうのかもしれない。婚活パーティー行くくらいなら、MINIを買って英国ファッションに身を固めていればいい結果に繋がると思うよ・・・。次にすれ違う時にクラブマンのオーナーのスタイルを見てみよう!!
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