ホンダカーズに久々に行く・・・
ちょっと前までとりあえず欲しいクルマ(日常で使いたいと思う適当なクルマ)がなかった「HONDA」ブランド。「NSX」「typeR」「S660」あとは片っ端からファミリーカー。極端で非常にシンプルなラインナップに「未来のホンダ」を感じたのだけども、あまりに急進的なラインナップの偏りに少々嫌気がさして離れてしまったファンも多いらしい。2015年から始まった「八鄕」体制は評判通りに日本市場でエモーショナルなモデルを増やす取り組みが進んでいる。シビック導入に始まり、インサイト、ヴェゼルツーリング、CR-Vと徐々にハイペースに「走り」のHONDAが復活しつつある。この先にはtypeR用の2Lターボを搭載した10代目アコードと、おしゃれなデザインのピュアEVが年内に導入される!?
2019年は「HONDAの年」!?
2019年は「MAZDAの年」あるいは「BMWの年」とか予測されているようだけど、実際にその周辺でウロウロしているユーザーが選ぶのは、案外HONDAなんじゃないか!?って気がする。特にここ数年で日本に投入されているモデルの出来がいい。グローバルでは2010年頃から中核を成すアコード・シビック・CR-Vのプラットフォーム統一を進めてきたけど、HONDAの6割以上を占めるミドル3車種を統合した「シャシー」は、ブランドの生命線だけあって完成度は非常に高く成熟されている。去年のマイナーチェンジで抜群の静粛性を示し始めたマツダ・アテンザに対しても、新型インサイトはHVの恩恵などもあるだろうけど、性能面で完全に「キャッチアップ」している。ホンダの中核シャシーと最も洗練されたパワーユニットを使う新型インサイトはアテンザやレクサスの各モデルに匹敵する「機能性」を持っている。
グローバル版のHONDAシャシーはやはりハイレベルだ・・・
このシャシーを使うアコードHV、シビック、ジェイド、CR-V、インサイトは、観測する限りでは、どれもクラストップレベルの実力を持っている。パワーユニットもHVにせよガソリンターボ車にしろ、その仕上がりは他ブランドに決して引けをとらないどころか、日本、欧州、北米全てでサルーン/SUVを堂々展開する「ミドルクラス13ブランド」(トヨタ/レクサス/HONDA/日産/MAZDA/スバル/メルセデス/BMW/VW/アウディ/ジャガー/ボルボ/アルファロメオ)の中で比べても非常によくできている。一部のモデルに乗っただけで断定するのは気が引けるけども、ホンダのミドルシャシーを使うモデルは、おそらくTNGAやMQBを使うモデルにはよっぽどのことがない限りは負けないだろう。
13ブランドの頂点はHONDAが奪う!!
メルセデス、BMW、MAZDA、レクサス、トヨタ、日産アウディ、ジャガー、アルファロメオの9ブランドは、上級モデルに縦置きエンジン車、下位モデルに横置きエンジン車を配置する「上下分割方式」でFFとFRのプラットフォームを使い分ける戦略になった。FFとFRが半分ずつという話ではなく、メルセデス、BMW、MAZDAなど多くのブランドでは70〜80%を横置きのFFモデルが占めるようになるだろう。これら9ブランドの下位グレードモデルを担当するのFFシャシーは、横置きを専門で作るホンダ、ボルボ、VWや縦置き専門のスバルに対して、少々苦しい戦いになるんじゃないかと思われる。その試金石になるのが、新型MAZDA3と新型インサイトの比較だ・・・。
日本メーカー車らしい「洗練」
新型インサイトを試した限りでは、日本市場で約300万円くらいのモデルならHONDAが一番有力!?という可能性が高い。そして300万円代のHONDAは、FFの下位モデルシャシーを蹴散らすだけでなく、FRの上位シャシーのメルセデスやBMWとも互角以上に戦える実力を持っているのではないか!?新型インサイトの仕上がりはミッション、ブレーキのフィールから、静粛性、NVH、パワーユニットに至るまで、いかにも「優秀な日本車」と言えるような素養が備わっている。「上三川、田原、宮田、防府の水準に寄居が追いついた!!」はちょっと失礼かもしれないけど、特にミッションと、HV特有の回生ブレーキ制御のフィールにおいては、一部の国産車には輸入車を全く寄せ付けないレベルのなめらかさが与えられている。
HONDAが変わった理由
ホンダの日本市場におけるこれまでの登録車の定番といえば、フィット、シャトル、ヴェゼル、ステップワゴンなのだけども、これらは日本のインフラとして高い評価を得る一方で、その欲張った設計ゆえに、軽量過ぎたり、重過ぎたり、車高が高かったりで、中央値に収まるモデルがほとんど無かった。日本市場向けHONDA車の最大の美点はスペース効率だけど、それでも低床と床下タンクなどでバランスを取る設計をするなど、「走り」にしわ寄せが行かない工夫がされていた。それに対してアメリカ市場にとってのホンダは、もっぱらアコード、シビック、CR-Vが全てであり、それらの設計思想は日本向けのモデルとはまるで違う。これまでのHONDAはアメリカ向けでは、乗用車として「王道」の13ブランド的な設計を重視していたけど、日本向けにはHONDA本体からは切り離され、特殊な市場向けの「専門ブランド」として展開されていたといえる。スズキ、ダイハツ、フィアット、VW(独自の小型車ノウハウがある)といった国民の所得水準が中位くらい国で活躍できるラインナップを投入している。・・・日本、イタリア、イギリス、フランスなどG7の「落ちこぼれ」もすでにHONDAや日産の勘定の中では「所得水準が中位くらいの国」でしか無かった!?
カーメディアの評価はおかしい!!
オッサンのカーメディアが、しばしば日産やHONDAの日本向けの廉価モデルに苦言を呈しているが、スバルやマツダあるいは輸入ブランドと単純に比較することがそもそも間違っている。クルマ好きでよくわかっているならそこは無視していいんじゃねーの!?木を見て森を見ずな意見に過ぎない。少々ややこしいのが、アメリカ市場から撤退していて13ブランドに含まれていないスズキは、いわゆる所得が中位市場向けの「専門ブランド」なのだけど、新旧のスイフトスポーツなどエンジンやミッションに関しては13ブランドに引けをとらない素晴らしい「マナー」を持っていたりする。そして日産の「専門ブランド」部門(ノートやセレナ)も、HONDAの同クラスより確かに洗練されていて、よく売れているのもわかる。スズキや日産が販売するジャトコを盟主とする「東富士サプライヤー」連合に支えられた「世界最高の小型車プロダクト」と比べてホンダの従来の普通車ラインナップにはやや引け目があるという結論なら納得はできるが・・・。
貧乏で未来がない日本で何を売るか・・・
前任の伊東社長は大胆な軽自動車戦略を打ち出した。HONDAの軽自動車部門での活躍はご存知の通りなのだけど、N-BOXの大成功は、そのままHONDAの従来の日本市場向けに用意された専門ブランド的な普通車ラインナップを食い荒らしてしまった。そこで「八郷」体制ではアメリカ市場向けに作っているHONDAの『御本尊』ともいえるラインナップを大々的に日本に移植する戦略を採っている。・・・が北米アコード、CR-V、シビック/シビッククーペ/シビックSiといった主力部隊では、そう簡単に日本市場には入っていけない。一部のマニアは喜ぶだろうけど、多くのユーザーからは「高すぎる」と言われるのがオチだ。北米ではメルセデスを殴り飛ばせるほどの性能が評価されているけど、日本では木を見て森を見ずなカーメディアからして全く理解されていないのが現状だ、ジェイドもクラリティも完全に無視された・・・。
課題はまだまだ多いが・・・
そんなHONDAの「御本尊」プラットフォームの実力を、力づくで日本のバカどもに見せつけるモデルが「新型インサイト」なのだと思う。スマートな外観に惹かれて乗ってみれば、あれれー・・・静粛性やNVHで日本市場で最高のレベルを争ってきたMAZDAとレクサスの間に堂々と割って入る実力。そりゃフィットやヴェゼルと土台が違う。完全にオーバースペックで敬遠されていたアコードHVの「上質」な部分だけを残して日本で使いやすいパッケージにまとめてみました・・・って企画なんだろうけどさ、いやはや恐れ入りました。あとは年収1000万円くらいのターゲットが、なんだかクワガタ虫?昔のBMW?みたいな「小ぶり」なエクステリア(唯一にして致命的な欠点)のインサイトに300〜400万円の価値を見出すかどーか!?「走りの質感」とかいうマニア用語を忘れてしまえば、アラバマ産のメルセデスの方がインスタ映えはする。次はCR-Vと新型アコードに「インスタ映え」仕様を追加するのか!?それを北米ではアキュラと呼んでいるが・・・。
「中型車13ブランドをランク付け・・・トップはもちろん!?」
↓これを輸入して乗るコダワリ派も増えているらしい。
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