トヨタが強い理由
ちょっと前のネット記事で、トヨタはホンダや日産のように中国市場に依存していないから素晴らしい!!とか書かれていたが、中国市場に依存したらダメという「イデオロギー」の説明なしにジャッジするのはやっぱり還暦ライターだよなー・・・。中国嫌いな人が高く評価する?傾向にある、ほとんどのドイツブランドとフランスブランドの中国依存率はホンダや日産の比ではない。メルセデスやBMWの販売データみたらオッサン達はこのブランド嫌いになるのかな!?
カローラが中国で大ヒット
中国市場などなくても十分に経営ができるトヨタが素晴らしいのか、中国市場で伸び悩むトヨタの実力不足なのか・・・もはや外野があーだこーだ言う必要もないし、他のメーカーと比較することもナンセンスだ。ただただネタがないカーメディア人に「切り取って」使われている。ちなみにトヨタは2018年の中国市場では前年比14.3%増の147万台を販売。絶好調の日産(156万台)の背中はまだ遠いがHONDA (143万台)の実績を超えてきた。
日本企業の肉食体質は・・・
日本市場で売られているトヨタ車は、ちょっと前までは「海外では全く通用しない」とか平気で書かれていたので、なんとなくそーいうものなのかなー!?と思っていたのだけども、日本で売れているトヨタ車にはどれも「独特」なこだわりがあると感じる。カーメディアを担ってきた連中と、現在のトヨタの社長が、国内向けモデルは「つまらない」と結論して区切りとし、TNGAが使われている新世代のトヨタ車に注目がいくようになっている。トヨタに限った話ではないけども、日本メーカーの担当者は、自分たちが作っている世代のモデルが最高なんです!!って言いたい気持ちが前に出てしまって自ブランドの過去についてあまり強調することはない。ヘリテージという意味でブランドに何かを積み上げる文化がないのも・・・仕方ないよなー。某日本メーカーでは、これから例のフランス人経営者時代のモデルが否定されていくのだろうか。
トヨタの試行錯誤
トヨタの現行モデルにも「クラウン」など、代々受け継がれていくモデルもある。2000年頃に相次いで生まれた「カローラランクス」や「アルテッツァ」「アリスト」などのレクサス専用車として開発されたモデルも、20年ほど生き延びてきた。それぞれにスタート地点は「VWゴルフ」「BMW3シリーズ」「メルセデスEクラス」といった代表的なドイツ車のシリーズをトヨタ/レクサスのラインナップに移植することだったのだけど、今考えると、中国だか台湾のメーカーがドイツ車にそっくりなクルマを作ってどこかのモーターショーに出してくるようなもので、ちょっと後ろめたいものを感じる。この収まりの悪さがある限りは・・・本家を超えて大ヒットとはなりにくいだろうし。
モチベーションが上がりません
トヨタゆえに「コピー能力」は非常に高いわけだけど、この手のクルマはやはり開発をしている側がちょっと士気が上がらないよなー。トヨタはすでに自他ともに認める一流企業なわけで、そこで働く人もまあちょっとした貴族みたいなもんだろうし。アルファードやランクルを作っている方がずっと気分がいいんじゃないだろうか!?世界ナンバー1の性能と放言しても誰もが納得してくれるモデルを作ってこそトヨタの仕事だ。
コピー大会なら・・・トヨタ優勝
トヨタのイメージがイマイチだったのは、アルファードやランクルが凄い!!って評価されるよりも、より多くの部分でレクサスISやレクサスGSが「トヨタの実力を測るモデル」として認識されてきたことがそもそも間違いだったのだろう。レクサスISとレクサスGSは、ほぼ間違いなくメカの水準としてはBMWやメルセデスの同クラスのモデルを超えている。そりゃそーだ、メルセデスやBMWが束になっても勝てないくらいの巨額の研究開発費をトヨタは計上している。ライバルモデルは徹底的に分解して設計のポイントや部品のコストを全て洗い出した上で設計を行うのだから、勝って当たり前だ。むしろ東南アジアや中国でも現地生産されているEクラスや5シリーズに、元町工場や田原工場で一括して生産されるレクサスISやGSが負けるはずがない・・・。
ドイツ車を上回ったけど
しかしメルセデスやBMWを超えても・・・何も起こらなかった。それどころかどちらのモデルともに廃止論が浮上しつつある。日本でもアメリカでも欧州でも中国でも売れていないから当然だ。86を作ってスープラを作ってご満悦の豊田章男社長も、自らの在任中にどんどん輝きを失ってしまったレクサスISとGSには、かなり頭を悩ませたことだろう。素人が恐縮だけども、やはりトヨタのヒットモデルは売れるべくして売れているのだと思う。トヨタらしい「グッと」来るポイントが必要なんだけど、ひたすらストイックにライバルモデルを追いかける時はどーもあまり良さが出ない。
トヨタの方程式
具体的にトヨタの驚異的な国内市場ヒット車といえば、「プリウス(先代)」「アクア」「C-HR」「ハリアー」「シエンタ」「アルファード/ヴェルファイア」でしょうか。売れたからいいクルマってわけではないかもしれないけどさ、まあそれぞれに「グッと」くるポイントがあるなーって気がする。HVだから売れるってわけでもない。とりあえず、どのモデルも他のメーカーがあまり注目しないジャンルに大胆にも最初に乗り出している。特にアクア、C-HR、ハリアーに関しては、不確定要素の多い未開のゾーンに他のメーカーより思い切りよく投入している。人によってはC-HRは「ジュークのパクリ」にしか見えないかもしれないけども、エクステリアデザインはオリジナリティに溢れていて、いつぞやのヴェロッサみたいな不思議な流線形フォルムであり、「ファミリーカーであることを避ける」という不思議だけど緻密なマーケティングが奇跡的に機能している。見事に勝負に勝ったモデルと言っていい。
アクアは人知を超えたアイディアの塊
アクアはもはや説明不要な「生きる伝説」。クルマ好きなら売れる理由はなんとなくわかるはず。2011年の段階でリッターカーとHVはただただ「経済性」の権化みたいな存在だったけど、それをこともあろうか「価格を抑える」リッターカーと「燃費を抑える」HVを合体させてしまう。200万円のリッターカーを誰が欲しがるのか!?プリウスをかなり簡略化したユニットを搭載するも価格はプリウスとあまり変わらず。・・・でこれをトヨタはある種の未来型「スペシャルティカー」として売った。このあまりに破天荒な戦略に、今までクルマに見向きもしなかった層がトヨタのディーラーに殺到した。
トヨタのバランス感覚がハリアー成功の秘密
現行ハリアーはHVを全面に押し出すトヨタの戦略とは距離を置いていて、ガソリンエンジン車として販売されてきた。HVもあるけど乗り出しは軽く400万円を超えるので販売の主体はあくまで「ガソリン」モデルだ。トヨタはHVで売れているわけではなく、とことん非HV車で勝負できる領域を熟知している。MAZDAというメーカーがディーゼルありきでCX-5をヒットさせたけども、そのCX-5を自然吸気ガソリンモデルが主体のハリアーがつい最近まですっかり抑え込んでいた。エンジンも走りもCX-5の方が優れているとMAZDAは胸を張るだろうけど、トヨタは「コンセプト」だけであっさり勝利した。MAZDAのデザイナーが動画でいくら理想を語ったところで、トヨタの本気のマーケティング戦略の前には、まだまだ力不足だったのかなーと思います。
エンジンでも走りでもなく「イメージ」だけで勝利する
ソリッドではあるけどCX-5のデザインはとにかく「アク」が少ない(押し出し感に乏しい)。そこそこの収入を得ている若者が、休日を仲間と過ごすクルマとして「時代性」を伴っていたのはハリアーの方だったかもしれない。もちろんCX-5を選択した若者もいるだろうけど、エクステリア、インテリアのデザインを精査・比較するならば・・・「グッと」くる独特のトヨタのこだわりが散らばるハリアーの方が一枚上手だった。トヨタが世界のトップを走る理由をあれこれ考えるのは結構楽しい・・・。(次回に続く予定)
「86もプリウスも決して安っぽくはない・・・」
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