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「新型BMW3シリーズ と 13ブランドを比較」
「新型BMW3シリーズ と 13ブランドを比較 その2」
Dセグはゆっくり終わっている!?
日米欧で中型車のラインナップを揃える主要13ブランド(メルセデス、BMW、ファルクスワーゲン、アウディ、トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、マツダ、スバル、ジャガー、アルファロメオ、ボルボ)は、世界の主要市場で激しい競争を振り広げている・・・と言われていますが、本当に自由競争なのか!?それともカルテルなのか!?少々ユーザー(特に日本のユーザー)にはその真剣さがあまり伝わらなくなってきてる!?事実BMW3シリーズのフルモデルチェンジがどーも「お葬式」な感じに・・・。日本勢の相対的な優位の中でカーメディアが完全にヤル気を無くしている。そんなバカな・・・ドイツ車の魅力がまともに見出せなくなっているカーメディアなんかゴミだ!!
前回までの結果
13位 レガシィB4・23点
11位 VWアルテオン ボルボS60・24点
9位 マークX アウディA4・25点
7位 BMW3シリーズ アルファジュリア・27点
6位 ジャガーXE・28点
4位 ホンダインサイト・29点
第4位 メルセデスCクラス 29点
(静粛3、ハンドリング4、出力2、燃費4、インテリア4、エクステリア4、サス4、ミッション4)
600万円以下では不本意な結果に・・・
Dセグで600万円以下という条件では、ドイツ勢は十分に力を発揮できない上に、このクラスから日本勢のクルマ作りは一気に変わるので、個別の項目ごとにハイスコアが出やすい。そんな中で輸入車最高位で日本勢に割って入ったメルセデスCクラスは素晴らしい!!静粛性と出力以外の項目では購入層を惹きつけることができるレベルの「4」を獲得。これはトップ3のモデルと遜色ないレベルであり、とにかく気が利いたモデルが多い日本勢の上級モデルと同じく幅広く多くの項目でしっかりとした作り込みが行われている。ブランド力を考えれば日本における異例の大ヒットも納得。
1.5Lターボ&モーターの可能性
ビッグマイナーチェンジを経て、日本市場向けには48Vマイルドハイブリッドを装備したモデルが登場し、C200アバンギャルドは1.5Lターボ+モーターで184ps/5800rpmとなった。80.4✖️73.7のショートストローク化されたユニットはターボにも関わらず自然吸気並みの高回転化へ舵を切った。ちょっと驚くべきことにホンダの1.5Lターボ(180ps/5500rpm)を超える高回転型となっている。ショート化で顕在化する低速トルク不足をかなり強力な電動ターボ(=マイルドハイブリッド)で補強するという整合性に優れたユニットだと思う。モーターが使えるからエンジンは気持ち良い方向へ変えていくという思想は、トヨタのM20A-FKS(レクサスUX/RAV4)や日産のVCターボ(日本未上陸)、マツダのスカイアクティブX(未発売)と並ぶポテンシャルを秘めている。
第3位 レクサスIS 30点
(静粛4、ハンドリング4、出力5、燃費2、インテリア4、エクステリア3、サス4、ミッション4)
なぜ売れなかったのか!?
600万円以下という条件がレクサスISにとってはドンピシャで、300psを超える自然吸気のV6ユニット搭載グレードが対象となるため、長らく販売低調のまま放置の状態にも関わらずベスト3に入った。2013年のデビュー当初からデザインも意欲的でクルマのポテンシャルも十分に高いと言われてきたけども、実際には「高級なプリウス」を求める層が買っただけだったみたいだ。Cクラスや3シリーズをとうとう超えた!!とか言われるくらい頑張ったのに、HVを買わせるための価格設定という奇妙さにクルマ好きは戸惑った・・・。
次はあるのか!?
最もエンスーな3.5LのV6・Fスポでもトヨタサルーンらしい当たりの柔らかい乗り味だったので、これをベースにスープラが作られていたらどうなっていただろうか!?直6ありきでビーエムを選んだとされているけど、トヨタ直6復活でこのISのシャシーを使ったスープラの復活をファンは望んでいたらしいが・・・。一つの予感に過ぎないけども、GSに続いてレクサスISも次期モデルはなくなる予定なのかもしれない。
第1位 マツダ・アテンザ 31点
(静粛5、ハンドリング3、出力2、燃費4、インテリア4、エクステリア4、サス4、ミッション5)
北米を纏うデザイン
エクステリアデザインの流麗さから注目度は高かったけども、バブル以降のマツダのフラッグシップでは「最も平凡スペック」であり、英国カーメディアは「最適なタクシー」とカペラ時代(マツダ第四世代)の頃の評価へ逆戻りした。すでにマツダの関心は欧州市場にはなく、第六世代フラッグシップとしてSUV(CX-5やCX-9)と共に北米市場に似合うサルーンになった。初期型のデザインはちょっとウワついた感じで、明確な着地点を見出せていなかったけども、フェイスリフトを経ていよいよ北米向けだと感じる硬質なマスクに変わってきた。
たどり着いた新しい頂
北米マツダのCM動画を見ても、アメリカの街並みに馴染んできているし、後期型のLパケの内装がやたらとナチュラルカラーとなった。第五世代(初代/二代目)のアテンザはスポーティなハンドリングが魅力のモデルだったけども、第六世代が到達した新たなストロングポイントは、おそらくクラス最高と思われる静粛性。どんな経営状況が厳しくてもいつも「凡庸」を嫌うマツダらしさは健在。FFサルーンがここまで食い込んだのは快挙。
第1位 日産スカイライン 31点
(静粛4、ハンドリング4、出力5、燃費3、インテリア4、エクステリア3、サス4、ミッション4)
孤高の先端技術
レクサスISとの戦いにアメリカでも日本でも完全勝利を果たした日産渾身の一台。ISも、F30/G20系3シリーズも、W205系Cクラスもどこか上のカテゴリーのモデルに遠慮した作りが目についてしまうけども、3.5LのV6にハイブリッドを組み合わせたユニットに新技術のステアバイワイアを盛り込んで上級のフーガとは異なる魅力を大いに発信したという意味で現在の13ブランドのDセグチャンピオンにふさわしいモデルだと思う。FFのアテンザに単独チャンピオンを取られていたらDセグFRサルーンの存在意義に大いに疑問が・・・。
日産のやりすぎ気質
残念なのは、スカイラインのダイナミックな先進性に他のブランドには追従する体力がないことと、カーメディアがその現実を直視できていないこと。なぜスカイラインがV6ハイブリッドで激走するのに対して、BMW7シリーズやメルセデスSクラスには直4ハイブリッドが与えられていたのか!?あからさまな格差がそこには存在する。日本のFRプレミアムサルーンとしては、北米市場でレクサスの各モデルに圧倒的な差をつけているだけあって、その暴力的なまでの機能性は、日本市場でも屹立していて、同時代の他のモデル(レクサスIS、GJアテンザ、WRX・S4など)の販売を大きく鈍らせた・・・。
ちょっと待った!!あのクルマを忘れているぞ!!ふざけんな!!
スバルWRX・STI 29点(4位相当)
(静粛2、ハンドリング5、出力5、燃費2、インテリア3、エクステリア3、サス4、ミッション5)
「熱狂」という意味では今回エントリーした13モデル全てを上回るのだけど、明らかに他のブランドとは毛色が違っていて、13ブランドが掲げる「上質なカーライフ」を追求するモデルではなさそうなので除外しちゃいました。しかしあからさまに閉塞気味なあDセグの現状を変えるには13ブランドが専用ボデーの「GTサルーン」を用意するべきかもしれない。すでに「GT-R」「4シリーズ」「アウディA5」「レクサスRC」「シビックtypeR」などがあるけども、13ブランドからそれぞれにハイパワー&MTの「GTサルーン」が揃ったならば、再びクルマの魅力を伝えることもできるだろうし、日米欧中どの市場でも勝負する13ブランドにとっては格好のイメージリーダーになるだろう。年産100万台程度ながらも世界で存在感を示すスバルの戦略はおそらく正しい。