MAZDA幹部は何を思う!?
WCOTY2020の最終結果が発表された。「カーオブザイヤー」のファイナリスト3台の中に日本のカーメディアが「世紀の失敗作」と散々にこき下ろして、不当な評価をされているように感じた、MAZDA3とCX-30が入っている。さらにもう一台が韓国のKIAのテルライドとかいうSUVが選ばれていて、おそらく史上初だろうけど東アジアメーカーが独占。「MAZDA、MAZDA、KIA」とはなんとも皮肉な組み合わせだ・・・。
ゴルフでてこいよ!!
VWゴルフ(8世代目)とMAZDA3の直接対決は実現しなかった。VW陣営がMAZDAの並々ならぬ意欲を見て敵前逃亡でゴルフの発表を遅らせた!?ではなくて同じグループのポルシェ911&タイカンの邪魔をしないように1年遅らせたのかもしれない。
カーオブザイヤー・KIAテルライド
ラグジュアリーカー・PORSHEタイカン
アーバンカー・KIAソウルEV
グリーンカー・PORSHEタイカン
デザイン・MAZDA3
受賞車は日本で販売されていないクルマばかり。世界で3番目に大きな市場であり、日系メーカー&サプライヤーのシェアは世界一の自動車大国であるはずの日本はやはりガラパゴス。KIAが日本に進出すれば、競争激化で日本価格はかなり下がるんじゃないかと思われる。ノルウェーやスウェーデンだけでなく、アメリカも中国もEV化に向けての大規模インフラ整備がこの先10年以上に渡って続くことで、自国経済の景気先行きへの不安感を払拭している。しかし日本では自動車メーカーと電気事業会社の連合による「自主整備」が主体だけど東電、関電はともかく、HVで既存シェアを取っているメーカーが積極的になる理由は見当たらない。そもそも国民の大部分がEV化に対して懐疑的だ。
もはや「WCOTY(日本は除く)」だ
来年のWCOTYには、「HONDA-e」や「MAZDA・MX-30」が有力候補として出てくるのだろうか。どちらも日本発売が噂されているけど、公式発表によるとバッテリー容量がどちらも35kWh程度で後続距離も200kmくらいになるらしい。都内から富士急ハイランドまで往復するのも無理だし、200km程度ならロードバイクで移動したいくらいだ。満タンまでの充電時間が短くなるのはいいけどさ。2020アーバンカーのKIAソウルEVの容量は64kWhで、リーフのロングレンジ版が62kWhで航続450kmくらいだったから、この数字をベンチマークしているんだろな。ソウルの見た目は10年くらい前にはよく見かけたトヨタbBみたいだ。
英国メディアもMAZDAを慰める
「It wasn’t the worst news for MAZDA〜」みたいな書き出しで2020WCOTYのレビューを書いていた英国メディアにとっても2台を残したMAZDAがイヤーカーを逃したのは意外だったようだ(2台同時ファイナリストは史上初の偉業なんだけどね)。日本のユーザーには全く馴染みがないKIAは調べてみると結構すごいです。ダイムラー=クライスラー、三菱自、ヒュンダイのジョイントベンチャー「GEMA」が開発した三菱4B1系エンジンのターボ版を「GDI」と命名して使い続けています。自動車産業の大いなる発展に寄与した「直噴ターボエンジン」の実用化に寄与した三菱重工へのリスペクトが凄まじい。ベストカーを書いている連中に爪のアカを飲ませたい・・・。
大型車が有利!?
2020イヤーカーに輝いた「KIAテルライド」は、全長5000mmで全幅1990mmのアメリカサイズの「ミドル」SUVで、MAZDA・CX-9と同じサイズ。デザイン賞以外のWCOTYでは「居住性(OCCUPANT ENVIRONMENT)」という項目があって、当然ながらMAZDAの2台にリードを奪う。CX-8をさらにワイドにしたボデー相手では、デザイン重視でキャビン小さめのMAZDA3、CX-30は苦しい。欧州メディアでも後席の膝前空間が不足と書かれていた。さらにMAZDAにとってやや不満なのは「SAFETY」で僅かではあるがテルライドに遅れをとったこと。MAZDAのどちらもファイブ・スターを得ているのに・・・。
MINI&VWがKIAに完敗
2020アーバンカー受賞の「KIAソウルEV」はファイナリストのライバル2台を引き離しての圧勝。しかも倒した相手が「ミニEV」と「T-CROSS」。小型車作らせたらやはり日本メーカーがまだまだ最強だとは思うけど、それでも日本で小型車を売ってしまうMINIとVWの最新鋭モデルがボロ負けという現実は、日本のユーザーにはちょっとばかり衝撃的な結果だ。来年にヤリスとフィットが参戦したらどんな結果になるのだろうか!?
日本市場の輸入車ってさ・・・
MAZDAとPORSCHE以外はクルマじゃない!!(あくまで個人の見解です)といったノリでこれまでブログを書いてきたが、今の日本市場のチャンピオンなんて「井の中の蛙」に過ぎないのかもしれない。名指しで恐縮だけど、BMWとかVOLVOとか自社でまともにミッションも作れないようなブランドが、日本市場をナメたような価格設定で威張っている状況はいつまで続くのか!?どうせ売れ残って大幅値引きで捌くんだからさ。高過ぎる定価ではほとんど売れないのだから、Amazonの「二重価格」問題と同じ構造だと思うが(取り締まれ!!)。輸入車の多くが採用しているけど、シェフラーやマグナ(旧ゲトラグ)がパテント料を徴収するためのビジネスモデルに成り果てた廉価モデル向けDCTは全然良くならない(真面目に改良してないのでは?)。VWは10速DCTの開発を打ち切ったらしい・・・やる気あるのか!?
ゴルフ&3シリーズはやる気がない
系列サプライヤーを抱える日本メーカーとアメリカメーカー、そして名門メルセデスは、今も高級車を作るにふさわしいだけの「ポリシー」を持ってミッション、エンジン、サスペンション、シャシーの開発に取り組んでいるようだけども、それ以外のメーカーのやる気の無さが年々ひどくなっている気がする。BMWもVWも「日本市場にできるだけ良いクルマを届けよう!!」という姿勢が欠けてないか!?昨年の新型3シリーズは日本向けだけ旧式4気筒のまま、ゴルフは5年くらい前に採用してる1.5Lターボが未だに日本市場には入ってこない。これではメルセデス一人勝ちの状況も当然だ。
KIAはWCOTYにふさわしいメーカーだ
日米メーカーとメルセデスが優秀過ぎる!?どうやらそんなことはないらしい。KIA&ヒュンダイは三菱へのリスペクトを忘れてないけど、独自に様々なパワーユニットを開発している。大排気量からダウンサイジングターボまでガソリンエンジンは幅広く実用化しているし、HVもEVもすでに市販している。MAZDAがなかなか思うように進められていない縦置きエンジンシャシーも、ジェネシスというプレミアムブランドを中心にKIAスティンガーなどで広く展開されている。MAZDAはSNSでWCOTYデザイン賞受賞を速報で報じていたが、KIAの北米サイトを見ても「WCOTY受賞」なんて一言も書いていない(コロナでそれどころではないだろうけど)。昔日の「武闘派」日産のようにポルシェやBMWとのスペック比較で自社製品をアピールしている。日本&ドイツメーカーへのリスペクトがすごい。さすが「ホンディ」とか名乗っているだけある・・・。
モジュラーでは高級車は作れない!?
多くのメーカーがトルコンATが高級車のミッションとしてこれからも一層に定着していくことに同意しているけど、メルセデスを除く欧州メーカーは自社開発することができない。メルセデスとマツダはミッションを含んだ電動化に着手しているけど、他の欧州メーカーはZFやアイシンAWによってブラックボックス化されたモジュラー仕様のATをトルク容量に合わせて採用することしかできない。福野さんにボロクソに言われなくても、BMWやボルボの開発者はわかっている。メルセデスやマツダにはエンジン&トルコンATで勝負している限りはどう頑張っても勝てないってことを。だからi4やポールスターなどのEVへの取り組みが加速しているのだろう。
MAZDAは赤っ恥
メルセデスやマツダと同じように自社や系列でミッションをインテグレーティッドに開発しているメーカーなら、この2社の動向を見極めて動くことができるだろう。トヨタ、日産、GM、フォード、そして傘下に「ヒュンダイパワーテック」と「ヒュンダイWIA」の2社もトルコンATを開発できる系列サプライヤーをもつヒュンダイ、キア、ジェネシスも追従できるだろう。・・・余談だけど、かつてKIAに技術供与をしてその礎を築くことに協力したのがMAZDA。まさか「弟子」に北米市場で先を越され、WCOTYまで掻っ攫われることになるとは。