MAZDAこそが世界の最先端
前回の、アメリカ西海岸の「プラットフォームビジネス」界隈で活躍するカリスマ・コンサルのベン=ホロウィッツが、可能な限り普遍的な「組織論」を語っている内容が、(著者の予期せぬ形で)MAZDAそのものを指しているのではないか!?って話の続き。「WHO YOU ARE」というマネッジメントに関する本だけど、経営とかに特に興味がない人にも十分に面白いと内容だと思う。
人類とは? から全てを導く
単なるコンサルのちょっぴりスピリッチュアルな経験論などではなくて、より普遍的な価値を持たせようとする狙いがあるようで、トゥサン=ルーベルチュールやチンギスハーンの成功した理由を分析して、現代の組織論を語っています。ちょっとびっくりなのは、日本でそこそこ盛り上がっている「歴史」ジャンルで名を上げている本郷和人、呉座勇一、倉本一宏、磯田道史といった人々は、「歴史の教訓」をテーマに人間関係や心理学を意識した面白い本を量産している。それでもアメリカのナンバー1コンサルともなると、日本の人気歴史学者の全て超える「爽快感」で無駄なく淀みなく「歴史の教訓」を紡いでいる。「ヤバい経済学」「サピエンス全史」など人類の行動規範について述べた本のヒットの影響かもしれないが・・・。
同業他社には当てはまらない
ハイチの元奴隷の革命家トゥサン=ルーベルチュールによる世界で唯一の成功事例を分析して、そこから出てきた最初の3つのエッセンスを見て思わず「これはMAZDAだ!!」と確信した。
「うまくいっているものを残す」
「刺激的なルールをつくる」
「服装を整える」
もはや組織論に限った話ではなく、激動の時代を生き抜く人々に欠かせない要素ではないかと思う。ホロウィッツに言われなくても、まともな人ならすぐにピンと来る内容ではあッル。失礼極まりないけど、この3つが満足に追求できていない人は、「鬱病」あるいは「セルフ・ネグレクト」といった無自覚症状だと診断できる。
「刺激的なルール」
前回は「うまくいっているものを残す」について書いたけど、他の2つに関してもほぼMAZDAが自動車メーカーとして存在感を発揮できているクリティカルな理由となっている気がする。MAZDAを見てると「刺激的なルール」を通り越してある種の「マゾヒズム」すら感じる。どこぞのメーカーが「駆け抜ける喜び」とか言いいつつ「モジュラーエンジン」と「外注ミッション」で新興国メーカーか!?ってなクルマ作りやってますが、MAZDAはバカみたいに「新機構エンジン」と「内製ミッション」にこだわる。ホンダやトヨタもかなり頑固な部類に入るだろうけど、MAZDAはそれすら超えている。全ては「刺激的なルール」に従ってるだけなんだろうけど・・・。
「服装」は大いに納得
ホロウィッツは2014年からGMの社長を務めるメアリー=バーラについて「WHO YOU ARE」でポジティブに言及している。GMの10ページにわたる「服装規定」を簡略化し「適切な服装」の一言に変えたらしい。(バカな)男性の部下が何人も抗議してきたが、その度に彼女は「適切の意味を考えろ!!」と叱り飛ばしている。高級なダークスーツが効果的な職種もあれば、Tシャツにジーパンでもなんら問題なく能率的に作業できる職種もある。それをまともに判断できない「常識のない」人はエクゼクティブや管理職には向かないだろう。
なぜMAZDAは高級スーツ!?
MAZDAデザイン部門のボス・前田育男さんがメディアに登場するようになってから、MAZDAのデザイナーと主査は、やたらとスタイリッシュなスーツを着こなすようになった。どこのメーカーよりもデザインとボデー表面の加工にこだわるMAZDAですから、社員の外向きの格好も矛盾がないように誂えているようだ。それと同時に全く無名の社員(一般人)をメディアに出すのは、ある種社会全体に対して挑戦的だと受け取られる(有名人気取りかい!?)。たとえ能力が優れた人物であったとしても、それが読者にすぐに認知されるわけではない。せめて服装でポジティブなイメージを作ると考えるのはブランディングを掲げるメーカーなら当たり前の結論なのだろう。あれだけ艶が出る番手糸でフルオーダーすれば30万円くらいはかかるだろうに・・・。
日本の格式は守られるのか!?
苦境が伝えられるオンワード、レナウン、三陽が潰れたら日本人の服装はどこまでラフになるのだろう!?若い兄ちゃんがどんな格好していても別に気にならないけど、40歳、50歳を超えた歳のオッサンがユ●クロやイ●ンで済ませるのは基本的にNGだと思う。職場でも電車でも近所のスーパーマーケットでも、「ここはあなたの自宅ですか!?」と突っ込みたくなるくらいにラフな格好は目につくけど、ハッキリ言ってしまうと、ところ構わず喚き倒す子どもみたいに不快な存在だ。格式を重んじるレストランでは、分別のない子どもと同じく排除されてしまうし、それは自宅を一歩出た瞬間から同じなんだよ!!
新型コロナで見えたもの
自粛が続く中でスーパーマーケットに行くとよくわかるが、このタイミングになっても揃って買い物に来ている夫婦の服装は、例外なく度を超えてみすぼらしい。まるでセンスというものが感じられない。「服装」の前に「行動」がアウト・・・ってことの気がつかない (特定の人を指しているわけではないので勘弁してください)。
MAZDAのエキセントリックさ
ベン=ホロウィッツが有名なコンサルで、日本語にも訳された本で堂々と主張されているから絶対に「正しい」とかいう、間抜けな話をするつもりはない。たまたま読んだ本が予想外にMAZDAの本質を突いていて面白いと感じたまでのことだ。ホロウィッツが「どや顔」で発信した最先端のカリフォルニア「企業組織論」をすでに広島の創業100年を誇る企業がやっている!? そんな驚きではなくて、MAZDAがアグレッシブなチャレンジを意思決定できる理由が、このホロウィッツによってより具体的に説明されたんじゃないの!?
泣き言を言わないMAZDA
新型コロナの報道で散々にイジられているMAZDAだけども、首脳陣から「泣き言」みたいなことは聞こえてこない。欧州メーカーがディーゼルエンジンでしくじった時も、中国地方の大水害で生産が長くストップした時も、ネガティブな声明はなかったような気がする。AJAJのカーメディアやヤフコメの暇人は、MAZDAの経営にあーだこーだ好き勝手言っているけど、同情されるような泣き言など発信していないし、新型車も新型エンジンも売れてないなんて思っていないだろう。
MAZDAスタイル
他の日本メーカーはやらないけど、MAZDAは毎月のように生産と販売の数字をWEBで細かく報告している。報道に振り回されずに自分の目で見て確認する人を相手にした素晴らしい情報発信だと思う。そして直近の数字を見ても決して悲観する内容ではない。そりゃそーだ名実ともに世界最高のクオリティを誇る乗用車メーカーへと登り詰めつつあるのは明らかだし、売りたい市場で確実に売れるだけのポテンシャルが製品から感じられる。アメリカの雇用統計は悲惨で、しばらく乗用車など不要な世界が続くかもしれないが、全てが元に戻った時にMAZDAがなかったら世界は大いに悲しむことだろう。